k_日本史

小高健(編)『長與又郎日記』上・下巻(2001–2002)

小高健(編)『長與又郎日記——近代化を推進した医学者の記録』上・下巻、学会出版センター、2001–2002年。 長与又郎日記―近代化を推進した医学者の記録〈上〉 作者: 小高健 出版社/メーカー: 学会出版センター 発売日: 2001/03 メディア: 単行本 この商品を…

茶谷十六・松岡精(編)『門屋養安日記』上・下巻(1996–1997)

茶谷十六・松岡精(編)『門屋養安日記』上・下巻(『近世庶民生活史料未刊日記集成』1・2巻)、東京 : 三一書房、1996–1997年。 近世庶民生活史料 未刊日記集成1 作者: 茶谷十六,松岡精 出版社/メーカー: 三一書房 発売日: 1996/11/01 メディア: 単行本 こ…

論文:藤本大士「近世医療史研究の現在——民衆・公権力と医療」『洋学』21、2014、91–125頁。

藤本大士「近世医療史研究の現在——民衆・公権力と医療」『洋学』21、2014、91–125頁。 論文が出版されました。本論文は、近世日本の医療史の研究動向をレビューした論文です。とくに、医療の社会史的アプローチをとったこれまでの論文を取り上げています。も…

属領と植民地主義という支配・従属関係の連続性:塩出浩之「北海道・沖縄・小笠原諸島と近代日本」(2014)

塩出浩之「北海道・沖縄・小笠原諸島と近代日本」『講座 日本歴史 15 近現代 1』岩波書店、2014年、165–201頁。近現代1 (岩波講座 日本歴史 第15巻)作者: 吉田裕,松尾正人,奥田晴樹,神山恒雄,松沢裕作,塩出浩之,鈴木淳,苅部直,谷川穣,大津透,桜井英治,藤井讓…

理想世界という極の途上としての文明:苅部直「文明開化の時代」(2014年)

苅部直「文明開化の時代」『岩波講座 日本歴史 15 近現代1』岩波書店、2014年、241–267頁。近現代1 (岩波講座 日本歴史 第15巻)作者: 吉田裕,松尾正人,奥田晴樹,神山恒雄,松沢裕作,塩出浩之,鈴木淳,苅部直,谷川穣,大津透,桜井英治,藤井讓治,李成市出版社/メ…

所蔵品展「饅頭・柏・オリーブ 山口進の画業と交友」東京大学駒場博物館

所蔵品展「饅頭・柏・オリーブ 山口進の画業と交友」会期:2014年3月3日〜4月11日、於:東京大学駒場博物館 HP:http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/exihibition.html#yamaguchi 東京大学教養学部の正門には、柏の葉とオリーブをかたどった旧制第一高等学校の校…

精神病院の症例誌にみる患者のデモグラフィ:鈴木晃仁「脳病院と精神障害の歴史」(2014)

鈴木先生が長年にわたっておこなってきた、王子脳病院のカルテ調査の成果がついに刊行されました。「本章は速報的な性格が強い」ということですが、日本の精神医療史ひいては医学史一般に対して、症例誌という新たなパースペクティブをはじめて導入した、非…

労働災害による身体障害区分の揺れ:長廣利崇「工業化と障害者」(2014)

長廣利崇「第4章 工業化と障害者」山下麻衣(編)『歴史のなかの障害者』法政大学出版局、2014年、133–168頁。歴史のなかの障害者 (サピエンティア)作者: 山下麻衣出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2014/02/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (…

キリスト教知識人による戦後改革と無教会第三世代:赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』(2013)#4

赤江達也『「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学』岩波書店、2013年、211–301頁。「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学作者: 赤江達也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/27メディア: 単行本この商品を含むブ…

無教会第二世代とキリスト教ナショナリズム:赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』(2013)#3

赤江達也『「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学』岩波書店、2013年、121–209頁。「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学作者: 赤江達也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/27メディア: 単行本この商品を含むブ…

教会・大学の外部としての雑誌と「紙上の教会」:赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』(2013)#2

赤江達也『「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学』岩波書店、2013年、35–119頁。「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学作者: 赤江達也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/27メディア: 単行本この商品を含むブロ…

宗教の内面性・主体性から社会性へ:赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』(2013)#1

無教会キリスト教に注目して近代宗教について捉え返そうとした、赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』を読みました。まずは「はじめに」、「序章 無教会キリスト教とは何か」、「終章 「紙上の教会」の日本近代」を中心に、全体を簡単に要約した読書メモを…

沖縄・奄美大島におけるハンセン病者とキリスト教者:杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』(2009)#3

杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』大学教育出版、2009年、143–221頁。キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡作者: 杉山博昭出版社/メーカー: 大学教育出版発売日: 2009/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 「第四章 沖縄の…

静岡・満州・熊本におけるハンセン病者とキリスト教者:杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』(2009)#2

杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』大学教育出版、2009年、83–142頁。キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡作者: 杉山博昭出版社/メーカー: 大学教育出版発売日: 2009/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 「第二章 飯野十…

戦前におけるハンセン病療養所の設置運動とキリスト教者:杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』(2009)#1

杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』大学教育出版、2009年、1–82頁。キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡作者: 杉山博昭出版社/メーカー: 大学教育出版発売日: 2009/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 本書は戦前のハンセ…

目が見えなくなること、人間であり続けること:足立貴美子「なぜ彼は」(1961)

第4回ハンセン病文学読書会に参加しました。今回は足立貴美子さんによる「なぜ彼は」(1961年)という短編小説を読みました。著者の足立さんは、本作品の舞台である栗生楽泉園(くりゅうらくせんえん;群馬県吾妻郡草津町)の入所者の方でしたが、それ以外の…

「宣教医ヘボン――ローマ字・和英辞書・翻訳聖書のパイオニア」横浜開港資料館

横浜開港資料館で開催中の「宣教医ヘボン」へ行ってきました。米国長老派教会系の医療宣教師であるヘボン(James Curtis Hepburn, 1815–1911)の展示が横浜開港資料館でおこなわれたのは、1983年の「ヘボンと横浜」展以来、実に30年ぶりのことだそうです。今…

「国立」の上野動物園における戦利動物のディスプレイ:木下直之「展示される戦利動物」(2009)

木下直之「展示される戦利動物」川口幸也(編)『展示の政治学』水声社、2009年、83–102頁。展示の政治学作者: 宮下規久朗,川口幸也出版社/メーカー: 水声社発売日: 2009/09メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る 今日の日本には…

日本医学図書館と明治期神田の医師・政治家・キリスト教者:堀江幸司「「日本医学図書館」と金杉英五郎」、「「日本医学図書館」」(1985)

明治30(1897)年に設立された日本医学図書館の歴史に関する論文を読みました。日本医学図書館は関東大震災によって幕を閉じることになりますが、その施設は当時の医学者や政治家、キリスト教者と関係のなかで生まれたものであり、非常に興味深い研究対象で…

「緒方洪庵・適塾と近世大坂の学知」大阪大学総合学術博物館・大阪大学適塾記念センター

大阪大学総合学術博物館と大阪大学適塾記念センターの共催による特別展「緒方洪庵・適塾と近世大坂の学知」を観覧してきました。適塾記念センターは、福沢諭吉など、著名な門人を生み出した蘭学塾・適塾とそれを主催した緒方洪庵に関する資料保存・収集・公…

疱瘡神祭りにみる信仰の商品化:香川雅信「疱瘡神祭りと玩具」(1996)

香川雅信「疱瘡神祭りと玩具――近世都市における民間信仰の一側面」『大阪大学日本学報』15、1996年、19–45頁。 近世日本の民衆たちがもっていた疱瘡信仰に関する研究は多くあるが、それらは民俗資料を用いたものであっても、歴史資料を用いたものであっても…

非人をめぐる医療文化と近世大坂の社会構造:高岡弘幸「都市と疫病」(1988)

高岡弘幸「都市と疫病――近世大坂の風の神送り」『日本民俗学』175、1988年、20–37頁。 本論文は、近世大坂の非人をめぐる医療文化について、民俗学的な観点に留まらず、当時の社会構造と関連づけることでそれを検討している。具体的に検討されるのは、安永元…

対ロシア関係史から見る日本開国史研究の新たな視角:平川新『開国への道』(2008)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、日本開国史をロシアとの対外交渉および当時の日本の政治状況と関連づけて論じた文献を読みました。なお、ロシアの日本進出の背景にあった北太平洋交易ネットワークについては、同じく本書の要約を書いているid:…

北方情報を得るために幕府が利用した情報ネットワーク:浅倉有子『北方史と近世社会』(1999)

浅倉有子「第二章 寛政改革期における北方情報と政策決定」『北方史と近世社会』清文堂出版、1999年、39–76頁。北方史と近世社会作者: 浅倉有子出版社/メーカー: 清文堂出版発売日: 1999/02/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 寛政期の蝦夷地政…

対ロ交渉過程にみる鎖国祖法観の形成:藤田覚『近世後期政治史と対外関係』(2005)

藤田覚「第I部第1章 鎖国祖法観の成立過程」『近世後期政治史と対外関係』東京大学出版会、2005年、3–20頁。近世後期政治史と対外関係作者: 藤田覚出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2005/12メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件)…

明治期に西欧に留学した医師たちのプロソポグラフィー:Donzé "Studies Abroad by Japanese Doctors"(2010)

Pierre-Yves Donzé, "Studies Abroad by Japanese Doctors: A Prosopographic Analysis of the Nameless Practitioners, 1862–1912," Social History of Medicine, 23(2), 2010, pp. 244–260. 本論文は、1862年から1912年にかけて、医学を学ぶために海外留学…

医療マーケット上での競争力向上を目指す在村医:Burns "Nanayama Jundô at Work"(2008)

Susan Burns, "Nanayama Jundô at Work: A Village Doctor and Medical Knowledge in Nineteenth Century Japan," East Asian Science, Medicine, and Technology, 29, 2008, pp. 62–83. http://home.uchicago.edu/~slburns/page1/page1.html 上記著者HPより…

藩による自然資源の利用と地域住民:町田哲「近世後期における徳島藩の御林と請負」(2013)

とある研究会の参考文献として、近世日本の環境史・地域史に関する文献を読みました。 町田哲「近世後期における徳島藩の御林と請負――那賀川中流域を事例に」『鳴門史学』26、2013年、49–83頁。 昨今の環境史的アプローチの広がりもあり、近世日本史研究では…

幕末における庶民から為政者への情報提供:守友隆「幕末期の国内政治情報と北部九州」(2010)

とある研究会の参考文献として、近世日本の政治史に関する文献を読みました。 守友隆「幕末期の国内政治情報と北部九州――筑前国黒崎桜屋・豊前国小倉村屋の「注進」行為について」『交通史研究』72、2010年、25–53頁。 近世期に庶民がおこなっていた情報活動…

18世紀初頭における唐船対策の転換点:松尾晋一「幕府対外政策における「唐人」「唐船」問題の推移」(2010)

とある研究会の参考文献として、近世日本の対外政策に関する文献を読みました。 松尾晋一「第7章 幕府対外政策における「唐人」「唐船」問題の推移――「宥和」政策から「強硬」政策への転換過程とその論理」『江戸幕府の対外政策と沿岸警備』校倉書房、2010年…