k_日本史

「医疾令」という医療制度下における古代日本の医療水準:丸山裕美子『日本古代の医療制度』(1998)

丸山裕美子「終章 『医心方』の世界へ――天平9年の典薬寮勘文と太政官符」『日本古代の医療制度』名著刊行会、1998年。日本古代の医療制度 (歴史学叢書)作者: 丸山裕美子出版社/メーカー: 名著刊行会発売日: 1998/05/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商…

慶長16年の地震による被害範囲と諸藩の復興事業:蝦名裕一「慶長奥州地震津波の歴史学的分析」(2013)

著者より抜刷をいただきました。ありがとうございます。以下、まとめを。 蝦名裕一「慶長奥州地震津波の歴史学的分析」『宮城考古学』15、2013年、1–17頁。 本論文は、「慶長三陸地震」として知られている慶長16(1611)年の地震について、後年の編纂物など…

牛痘法前後における村の疱瘡対策の変化:東昇「近世肥後国天草における疱瘡対策」(2009)

東昇「近世肥後国天草における疱瘡対策――山小屋と他国養生」『京都府立大学学術報告(人文)』61、2009年、143–160年。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110008138630 ※ 上記リンクより無料閲覧・DL可能 これまで疱瘡に注目した歴史研究は、1849(嘉永2)年に牛痘…

疱瘡患者に対する宗教・医療行為:佐藤文子「近世都市生活における疱瘡神まつり」(2000)

佐藤文子「近世都市生活における疱瘡神まつり――「田中兼頼日記」を素材として」『史窓』57、2000年、119–130頁。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110000413826 ※ 上記リンクより無料閲覧・DL可能 宝暦4–5(1754–1755)年に京都で疱瘡が流行した。一ノ宮下鴨神社の…

江戸時代の佐渡における医療環境:田中圭一『病いの世相史』(2003)

田中圭一『病いの世相史――江戸の医療事情』ちくま新書、2003年。病いの世相史―江戸の医療事情作者: 田中圭一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2003/11メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見る 本書の著者は、佐渡金銀山の歴史など、主として新潟を…

蝦夷地への感染症襲来とアイヌ医療文化の取り込み:ウォーカー『蝦夷地の征服 1590-1800』(2007)

ブレット・ウォーカー「第七章 蝦夷地の伝染病・医療と変わりゆく生態系」『蝦夷地の征服 1590-1800――日本の領土拡張にみる生態学と文化』秋月俊幸訳、北海道大学出版会、2007年、227–261頁。蝦夷地の征服1590‐1800―日本の領土拡張にみる生態学と文化作者: …

佐賀医学史研究会 エクスカーション(2013年9月16日)

前日のエクスカーションは洋学史学会が主催するものでしたが、この日は佐賀医学史研究会主催のエクスカーションに参加してきました。今回、訪れた資料館・史跡は以下の通りです。 ・三浦梅園資料館(大分県国東市安岐町) HP ・富貴寺大堂(大分県豊後高田市…

洋学史学会・佐賀大会 エクスカーション(2013年9月15日)

洋学史学会・佐賀大会のエクスカーションとして、以下の資料館を見学して参りました。 ・松浦史料博物館(長崎県平戸市) HP ・平戸オランダ商館(長崎県平戸市) HP ・佐賀県立九州陶磁文化館(佐賀県有田町) HP ・佐野常民記念館(佐賀県佐賀市) HP 学会…

鉱石をめぐるグローバル・ヒストリー:竹田和夫(編)『歴史のなかの金・銀・銅』(2013)

寄稿者の一人である仲野義文氏(石見銀山資料館・館長)より御恵投いただきました。ありがとうございます。以下、簡単に紹介を。 竹田和夫(編)『歴史のなかの金・銀・銅――鉱山文化の所産』勉誠出版、2013年。歴史のなかの金・銀・銅 -鉱山文化の所産- (ア…

中国地方の歴史を広く知ってもらうために:公益社団法人中国地方総合研究センター(編)『「海」の交流』(2012)

寄稿者の一人である仲野義文氏(石見銀山資料館・館長)より御恵投いただきました。ありがとうございます。以下、簡単に紹介を。 公益社団法人中国地方総合研究センター(編)『「海」の交流――古代から近世までの瀬戸内海・日本海』中国地方総合研究センター…

世界記憶遺産・山本作兵衛の記録画と筑豊炭坑の歴史:田川市石炭・歴史博物館

実家に帰省しているので、筑豊炭田にまつわる博物館・美術館に行ってきました。その第三弾は、福岡県田川市にある「田川市石炭・歴史博物館」です。 ・田川市石炭・歴史博物館 HP:http://www.joho.tagawa.fukuoka.jp/sekitan/ 住所:福岡県田川市大字伊田27…

筑豊石炭鉱業組合・直方会議所や多数の炭坑画:直方市石炭記念館

実家に帰省しているので、筑豊炭田にまつわる博物館・美術館に行ってきました。その第一弾は、福岡県直方市にある「直方市石炭記念館」です。 ・直方市石炭記念館 HP:http://www.yumenity.jp/sekitan/sekitan.html 住所:福岡県直方市大字直方692-4 最寄り…

漁業からみる帝国日本の内と外/生物学史研究会(2013年8月10日、於:東京大学駒場キャンパス)

「漁業からみる帝国日本の内と外」というテーマで生物学史研究会を開催いたしました。一参加者としてその報告のメモを。 漁業からみる帝国日本の内と外/生物学史研究会(2013年8月10日、於:東京大学駒場キャンパス) http://researchmap.jp/evzwufhaa-66/#…

土地を所有しない身分集団・生業集団への注目:横田冬彦「生業論から見た日本近世史」(2008)

引き続き、とある勉強会で読んでいる近世日本の環境史に関する文献をまとめました。こちらも第一回目の勉強会のアサインメントです。なお、本論文では「環境史」と呼びうる事例(山村や漁村の生業に関する研究)が紹介されていますが、それほど「環境史」と…

人間史と自然史の相互作用への着目:水本邦彦『環境の日本史 4 人々の営みと近世の自然』(2013)

とある勉強会で、近世日本の環境史に関する文献を読んでいます。第一回目は、吉川弘文館から全五巻本として刊行された『環境の日本史』シリーズから、近世史に関連した第四巻の編者の総論などを読みました。 水本邦彦「人々の営みと近世の自然――総論」、「1 …

洋学史学会・7月例会(2013年7月14日、於:電気通信大学)

洋学史学会の例会に参加してきましたので、報告記を。 福岡万里子「幕末外交史の日本=プロイセン修好通商条約/オランダによる〈世界貿易への日本開国〉?」、平野恵「舶来植物が本草学に与えた影響」洋学史学会・7月例会(2013年7月14日、於:電気通信大学…

ASSHM例会(2013年7月13日、於:青山学院大学)

本日、ASSHM例会にて中村江里さん(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)と一緒に報告させていただきました。僕の報告についての概要・議論などはまた別エントリにまとめるとして、以下では中村さんの議論について簡単に紹介したいと思います。 中村江…

東洋文庫講演会(2013年7月7日、於:東洋文庫)

駒込駅近くにある「東洋文庫」は、アジア全般の歴史や文化に関する書物を多数所蔵する東洋学のセンターです。そのミュージアムでは、今月末まで「マリーアントワネットと東洋の貴婦人――キリスト教文化をつうじた東西の出会い」(会期:2013年3月20日〜7月28…

ハンセン病・被爆者・キリスト教:風見治「鼻の周辺」(1987)

本日、今回で2回目となるハンセン病文学読書会に参加してきました。今回は風見治さんによる「鼻の周辺」(1987)という短編小説を読みました。 著者の風見治さんは、1932年に長崎市に生まれ、1934年にハンセン病を発症しています。その後、1952年から熊本県…

「国民皆兵主義」という理念と一部の貧者だけの徴兵という実態:一ノ瀬俊也「軍隊と社会」(2012)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より明治期の徴兵制によって変容する社会の様子を描いた文献を読みました。 一ノ瀬俊也「6 軍隊と社会」明治維新学会(編)『講座 明治維新 5 立憲制と帝国への道』有志舎、2012年、176–200頁…

日清戦争研究のこれまでと新潮流:大谷正「日清戦争」(2012)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より日清戦争に関する文献を読みました。本講座所収の他の論文に比べて、本論文は研究動向という色合いが強くなっていますので、以下の要約では研究史でキーとなっている文献の紹介と、最近の…

報告:藤本大士「近世日本における鉱山労働者の生命と医療政策――産業政策の一環か、領主の慈悲か」「生のガバナンス」研究会・第9回研究会(2013年6月28日、於:京都大学吉田泉殿)

2013–2014年度・科研費挑戦的萌芽研究「生に関するゆるやかなガバナンスのあり方」(研究代表:吉澤剛;KAKENページはコチラ)の活動母体である「生のガバナンス」研究会において、発表させていただきました。以下、簡単にその報告を。 藤本大士「近世日本に…

「紀ノ川」(1966年、監督:中村登)

とある近代日本史ゼミの一環で、有吉佐和子の小説を元にした映画「紀ノ川」(1966年)を見ました。簡単にあらすじと感想を。以下、ネタバレあり。 「紀ノ川」(1966年、松竹、173分) 監督:中村登、脚色:久板栄二郎、原作:有吉佐和子あの頃映画 「紀ノ川…

刑罰執行において公儀の慈悲深さを維持する方法:ボツマン『血塗られた慈悲、笞打つ帝国。』(2009)#1

ダニエル・ボツマン氏の著作『血塗られた慈悲、笞打つ帝国。』(原題:Punishment and power in the making of modern Japan)より、邦題の前半部に関連する第2章の部分を読みました。 ダニエル・V・ボツマン「第2章 血塗られた慈悲――幕府のふたつの顔と被差…

軍拡費捻出をめぐる政府の対応:池田憲輶「松方財政から軍拡財政へ」(2012)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より松方財政に関する文献を読みました。 池田憲輶「3 松方財政から軍拡財政へ」明治維新学会(編)『講座 明治維新 5 立憲制と帝国への道』有志舎、2012年、87–112頁。講座 明治維新5 立憲制…

医療活動を「副業」としてはじめた公家:米澤洋子「室町・戦国期の山科家の医療と「家薬」の形成」(2013)

米澤洋子「室町・戦国期の山科家の医療と「家薬」の形成――「三位法眼家傳秘方」をめぐって」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、82–129頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文…

社会集団を「重層」的に「複合」的に捉える:久留島浩「「身分的周縁」から武士身分を問う」(2000)

久留島浩氏の論考から、医師に関する事例に言及したところを中心にまとめました。 久留島浩「「身分的周縁」から武士身分を問う」久留島浩ら(編)『シリーズ近世の身分的周縁 6 身分を問い直す』吉川弘文館、2000年、49–72頁。身分を問い直す (シリーズ近世…

国家目標という観点から読み直す明治6年政変と内務省設立:勝田政治「征韓論政変と大久保政権」(2012)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より明治6年政変(征韓論政変)に関する文献を読みました。 勝田政治「2 征韓論政変と大久保政権」明治維新学会(編)『講座 明治維新 4 近代国家の形成』有志舎、2012年、56–90頁。講座 明治…

「彰古館」にみる軍隊と医学

本年度の軍事史学会年次大会は陸上自衛隊衛生学校高等看護学院校舎で開催されましたが、ここに併設されている「彰古館」について少し紹介を。これがまた素晴らしかった!場所柄もあり簡単には観覧できないと思いますが、当然ながら軍陣医学関連の面白そうな…

第47回軍事史学会年次大会(2013年6月1日、於:陸上自衛隊衛生学校高等看護学院校舎)

【追記:2013/6/2】当初、彰古館の紹介も本エントリに記載していましたが、見やすさの関係上、別エントリに移しました→コチラ 本日、第47回軍事史学会年次大会(2013年6月1日、於:陸上自衛隊衛生学校高等看護学院校舎)に参加してきましたので簡単にメモを…