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第60回日本科学史学会年会(2013年5月25–26日、於:日本大学商学部)

週末に開催された日本科学史学会・第60回年会(2013年5月25–26日、於:日本大学商学部)の参加メモを簡単に残しておきます。なお、プログラムなどは下記リンクから閲覧可能です。終了 2013年度 総会・第60回年会(2013/4/21最終案内) | 日本科学史学会 中尾麻…

栢木まどか「日本統治期の台湾における都市計画・建築史」(2013年5月18日、於:PORTA神楽坂)

「帝国日本の知識ネットワークに関する科学史研究」の研究会に参加してきましたので、簡単に参加メモを。 栢木まどか「日本統治期の台湾における都市計画・建築史――日本植民地建築史研究のレビューをふまえて」帝国日本の知識ネットワークに関する科学史研究…

JARS第1回ウェブ対談 「平岡隆二 『南蛮系宇宙論の原典的研究』を語る!」(2013年4月27日、於:Google ハングアウト)

先週、平岡隆二さんの新刊『南蛮系宇宙論の原典的研究』出版記念イベントが開催されましたが、かなり反響があったようで、今日現在、YouTubeでは400回再生を超え、はてなブックマークも10個もついてしまうという人気ぶりです!ということで、せっかくなので…

Isis Focus 読書会 #8「リストマニア」(2013年5月1日、於:東京大学)

第8回のIsis Focus読書会のテーマは「リストマニア」でした。個人的に面白かったと思うことや学んだことを簡単にメモしておきます。 Isis Focus 読書会 #8「リストマニア」(2013年5月1日、於:東京大学) 5月1日 Isis, Focus読書会#8 リストマニア - 駒場科…

リストをつくることの認知的効果:Müller-Wille & Charmantier "Lists as Research Technologies"(2013)

5月1日(水)に迫ったIsis Focus読書会に向けて、自分の担当箇所のレジュメをつくりました。今回の特集は「リストマニア」です。なお、読書会はどなたでも、(Google+を通じて)どこからでも参加可能ですので、参加希望の方は藤本にまでお気軽にご連絡くださ…

宣教師の手を離れた南蛮系宇宙論のゆくえ:平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』(2013)#2

とうとう明日に迫った『南蛮系宇宙論の原典的研究』出版記念イベントに向けて、平岡さんの本の後半部をまとめました。なお、第6章のみ別エントリ(コチラ)でまとめていますので、以下では4・5章と結論部を要約しております。 ちなみに、このイベントの模様…

「霊的武器」としての西洋宇宙論:平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』(2013)#1

週末のイベントに向けて、平岡さんの本の前半部をまとめました。 平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』花書院、2013年、1–102頁。 『南蛮系宇宙論の原典的研究』特設ページ:購入はコチラから ※ 残り部数わずか!Amazonなどでは販売されていないので注意! …

キリスト教禁制後の日本人知識人と南蛮系宇宙論:平岡隆二「『南蛮運気論』の流布と受容」(2013)

本日、とうとうゲットしました!各所で話題沸騰中の、平岡さんの新刊『南蛮系宇宙論の原典的研究』を!ぱらぱらとみてみたのですが、これはもう素晴らしいの一言につきますね。日本側の史料だけでなく、欧州の史料も渉猟し、キリシタン時代の宇宙論を総合的…

科学研究のもつ歴史への関心/時間への無関心:Daston "The Sciences of the Archive" (2012)

明日に迫ったOsirisの読書会に向けて、担当箇所のレジュメを作成しました。なお、読書会はドタ参も歓迎ですので、お時間ある方はどうぞ。詳細はコチラ(オンライン参加もできます)。 Lorraine Daston, "The Sciences of the Archive," Osiris, 27(1), 2012,…

「平成の大津波被害と博物館――被災資料の再生をめざして」(於:岩手県立博物館)

昨日、岩手県立博物館で開催中のテーマ展「平成の大津波被害と博物館――被災資料の再生をめざして」を見学して来ました。館の方にブログでもなんでもどしどしアピールしてねと言われたので、早速その紹介を。笑 テーマ展「平成の大津波被害と博物館――被災資料…

中世スコラ学と近代的原子論の連続性:平井浩「ルネサンスの種子の理論」(2002)

去る2月7日、駒場科学史講演会としてヒロ・ヒライ氏による「ルネサンスの生命と物質――20年の海外研究生活から(日本学術振興会賞記念講演)」という講演がおこなわれました。氏の長きにわたる海外研究生活と絡めつつ、博士論文の主題である「種子の理論」、…

人類学者によるメディアの活用:飯田卓「昭和30年代の海外学術エクスペディション」(2007)

飯田卓「昭和30年代の海外学術エクスペディション――「日本の人類学」の戦後とマスメディア」『国立民族学博物館研究報告』31(2)、2007年、227–285頁。 http://ir.minpaku.ac.jp/dspace/handle/10502/3327 ※ 無料閲覧・DL可能 昭和30年代(1955–1964年)とい…

調査地被害と「日本(人)」の再定義:坂野徹『フィールドワークの戦後史』(2011)#2

坂野先生による『フィールドワークの戦後史』の後半です。今回は第2章・第3章・終章をまとめます。前半のまとめはコチラ。 坂野徹「第2章 能登調査と「調査地被害」」、「第3章 奄美調査と「本土」復帰」、「終章 九学会連合のその後」『フィールドワークの…

「辺境」の調査者と被調査者:坂野徹『フィールドワークの戦後史』(2011)#1

ここ数年にわたってフィールドサイエンスに関する調査を進めていた坂野先生ですが、昨年末ついに本書『フィールドワークの戦後史』が出版されました!本書はとくに、戦後すぐに学会の枠を超えて組織された九学会連合と、そこでの民俗学者・宮本常一の活動を…

ゴールドラッシュと水供給:森下直紀「サンフランシスコ市における水道事業公営化への史的展開」(2011)

森下直紀「サンフランシスコ市における水道事業公営化への史的展開」『Core ethics:コア・エシックス』7、2011年、285–298頁。 http://www.r-gscefs.jp/?p=1382 ※ 無料閲覧・DL可能 18世紀の中頃から19世紀の初頭のアメリカでは水道史における一つの大きな…

科学知識の「循環」とグローバル・ヒストリー:Roberts "Situating Science in Global History" (2009)

月曜日に迫ったIsis Focus読書会に向けて、科学史とグローバル・ヒストリー(以下、GH)に関する文献を読みました。著者は科学史家ですが科学史だけでなくGHの特徴を端的に捉え、科学史のGHへの接続に向けて示唆に富んだ問題提起をしています。 なお、読書会…

「応用科学」という見方と技術と技術史の自律性:Alexander "Thinking Again about Science in Technology" (2012)

今週木曜日にせまったIsis Focus読書会ですが、担当部分をまとめました。なお、読書会についての詳細は下記サイトで。もちろん、どなたでも参加可能ですので、興味のある方は是非。http://d.hatena.ne.jp/hskomaba/20121112/1352725970 http://www.facebook.…

エネルギー観と労働観の変化の並行性:Rabinbach "From Mimetic Machines to Digital Organisms"(2010)

授業のアサインメントとして、18〜20世紀の欧米における労働の概念史について論じた文献を読みました。著者の専門は近代ヨーロッパの思想史ではありますが、本論文は科学史や医学史、さらには社会史や文化史などの話題についても扱っており、非常にスリリン…

レジャーとしての動物園に対する大衆の期待、学者の思惑:伊東剛史「19世紀ロンドン動物園における科学と娯楽の関係」(2006)

昨日、オシテオサレテにて伊東剛史さんによる19世紀ロンドンの動物園についての研究が紹介されており、非常に興味をもったので僕も便乗して氏の別論文を読んでみました。 余暇としての動物園に着目することは、イギリス社会経済史上でも非常に斬新な視点です…

ピーター・バーク「情報の乏しかった時代/情報が溢れ出ている時代」(2012年10月14日、於:東洋大学円了記念ホール)

ケンブリッジ大学のピーター・バーク氏が東洋大学で講演されるということでしたので、喜んで行ってきました。説明するまでもなく、バーク氏は稀代のルネサンス研究者で、同時にさまざまな歴史学理論に関する著作も執筆している世界で最も有名な歴史家の一人…

ノーベル賞推薦状にみる日本医学界の動向と科学観:岡本拓司「戦前期日本の医学界とノーベル生理学・医学賞」(2002)

ここ数日ノーベル賞をめぐって世間が賑わっておりますが、今回は戦前の日本におけるノーベル生理学・医学賞に関して検討した文献を読みました。ノーベル賞をめぐる書籍は一般書から専門書まで数多くありますが、岡本先生による一連のノーベル賞研究は基礎文…

科学史関連アーカイブズの取り組み:「アーカイブズ・ネットワーク 南から北から」『記録と史料』(2008・2009)

『記録と史料』はアーカイブズ学の動向や各地域での活動を紹介する専門誌として有名ですが、本誌には「アーカイブズ・ネットワーク 南から北から」というコーナーがあり、様々なアーカイブズでの取り組みを紹介しています。今回は特に科学史に関連するアーカ…

3つの知の様式とその変位:Pickstone "Ways of knowing: an Introduction" (2000)

今年初めにおこなっていたJohn Pcikstone, Ways of Knowing (2000)の読書会のレジュメとして、その序論をまとめていましたが、ブログで紹介するのを忘れていたので、今更ながらアップしておきます。 John V. Pickstone, "1 Ways of knowing: an Introduction…

科学史と図像:橋本毅彦「おわりに――科学技術の活動における図像の機能」(2008)

明日、駒場で楠川幸子先生の特別講演がおこなわれますが、発表とも関連する「科学史における図像」というテーマをサーベイした文献を読みました。なお、講演の詳細は以下をご覧下さい。申込不要。もちろん、無料です。 http://researchmap.jp/ev2n52ksg-66/#…

情報を取り扱うことの歴史と文化:Blair "Information Management in Comparative Perspectives" (2010)

読書会のレジュメとして、ブレア『あまりに多くて知ることが出来ない』の「第1章 情報を取り扱うことの比較史」という章をまとめました。なお、読書会の詳細は下記から。 http://d.hatena.ne.jp/hskomaba/20120628 Ann M. Blair, "Information Management in…

解剖学書における図像の役割: Kusukawa "The canon of the human body" (2012)

研究会用のレジュメとして、クスカワ『自然の書物を描く』の「第10章 人間の身体の正準」をまとめました。前章では『人体の構造に関する七つの本』より前に行われた議論が中心でしたが、本章はヴェサリウスの主著である『人体の構造に関する七つの本』を中心…

ルネサンスと図像のもつ機能:Kusukawa "Accidents and Arguments" (2012)

現在行っている研究会用のレジュメとして、クスカワ『自然の書物を描く』の「第5章 偶有性と議論」をまとめました。16世紀の植物学者フックスが古代の植物に関する知識の復興を試みる際に、図像がいかに重要な位置を占めていたかについて説明されています。 …

ヴィクトリア・リー「梶雅範論文へのコメント」金森修(編)『昭和前期の科学思想史』合評会(2012年4月14日 於:東京大学本郷キャンパス)

前回のエントリでも書きましたが、先日の金森修(編)『昭和前期の科学思想史』の合評会(金森修編著『昭和前期の科学思想史』(勁草書房、2011年)合評会 - les livres lus au clair de la lune)におけるリーさんのコメントと梶先生のリプライをまとめまし…

科学思想とイデオロギーの関係:坂野徹「日本人起源論と皇国史観」(2011)

坂野徹「第三章 日本人起源論と皇国史観──科学と神話のあいだ」金森修(編著)『昭和前期の科学思想史』勁草書房、2011年、243-310頁。昭和前期の科学思想史作者: 金森修出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2011/10/11メディア: 単行本 クリック: 29回この商…

植民地科学における非公式ネットワーク: Harrison "Science and the British Empire" (2005)

Mark Harrison, "Science and the British Empire," Isis, 96(1), 2005: 56-63. ※無料閲覧可:Isis, Vol. 96, No. 1, March 2005 本論考は、ここ数十年多くの注目を浴びている「植民地科学」研究について、大英帝国における科学活動の事例を中心に、これまで…