精神分析の凋落と精神ケア市場の競争激化:ショーター『精神医学の歴史』(1999)

エドワード・ショーター「第八章 フロイトからプロザックへ」『精神医学の歴史――隔離の時代から薬物治療の時代まで』木村定訳、青土社、1999年、343–387頁。精神医学の歴史―隔離の時代から薬物治療の時代まで作者: エドワードショーター,Edward Shorter,木村…

精神病院の症例誌にみる患者のデモグラフィ:鈴木晃仁「脳病院と精神障害の歴史」(2014)

鈴木先生が長年にわたっておこなってきた、王子脳病院のカルテ調査の成果がついに刊行されました。「本章は速報的な性格が強い」ということですが、日本の精神医療史ひいては医学史一般に対して、症例誌という新たなパースペクティブをはじめて導入した、非…

労働災害による身体障害区分の揺れ:長廣利崇「工業化と障害者」(2014)

長廣利崇「第4章 工業化と障害者」山下麻衣(編)『歴史のなかの障害者』法政大学出版局、2014年、133–168頁。歴史のなかの障害者 (サピエンティア)作者: 山下麻衣出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2014/02/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (…

ロックフェラー財団の登場と中国での医療宣教の変化:Stanley "Professionalising the Rural Medical Mission in Weixian, 1890–1925"(2006)

John R. Stanley, "Professionalising the Rural Medical Mission in Weixian, 1890–1925," David Hardiman, ed., Healing Bodies, Saving Souls:Medical Missions in Asia and Africa, Rodopi, Amsterdam and New York 2006, pp. 115–136.Healing Bodies, S…

香港における医療宣教の広がりと地域ボランタリズムの貢献:Wong "Local Voluntarism"(2006)

Timothy Man-Kong Wong, "Local Voluntarism: The Medical Mission of the London Missionary Society in Hong Kong, 1842–1923," David Hardiman, ed., Healing Bodies, Saving Souls:Medical Missions in Asia and Africa, Rodopi, Amsterdam and New York…

広東システム下における最適な伝道方法としての医療:Lazich "Seeking Souls through the Eyes of the Blind"(2006)

Michael C. Lazich, "Seeking Souls through the Eyes of the Blind: The Birth of the Medical Missionary Society in Nineteenth-Century China," David Hardiman, ed., Healing Bodies, Saving Souls:Medical Missions in Asia and Africa, Rodopi, Amste…

解剖されたルターとその身体をめぐる内部対立:高津秀之「手術台の上のルターと宗教改革者たち」(2013)

高津秀之「手術台の上のルターと宗教改革者たち――ヨハンネス・ナースの対抗宗教改革プロパガンダ」『エクフラシス = Εκφρασισ : ヨーロッパ文化研究』3、2013年、178–193頁。 http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/handle/2065/39849 ※ 上記リンクから無料…

動物の魂をいかに描くか:Cohen "Searching the Animal Psyche with Charles Le Brun"(2010)

金曜日に迫ったAnnals of Science読書会「特集:初期近代における動物の表象」に向けて、自分の担当文献をまとめました。なお、研究会詳細については下記リンクをご覧ください。 ・Annals of Science読書会#1「特集:初期近代における動物の表象」 - 駒場科…

19世紀後半のアメリカにおける基礎医学・臨床医学の成熟:Numbers & Warner "The Muturation of American Medical Science"(1985)

Ronald L. Numbers and John Harley Warner, "The Muturation of American Medical Science," in Judith Walzer Leavitt and Ronald L. Numbers, eds., Sickness and Health in America: Readings in the History of Medicine and Public Health, Madison, W…

「イタリア映画の巨匠、アゴスティの世界を観る語る」(2014年1月14日、於:慶應義塾大学三田キャンパス)

「イタリア映画の巨匠、アゴスティの世界を観る語る――芸術映画・映像美の位相」主催:慶應義塾大学文学部人間科学専攻、慶應義塾大学アートセンター・トランス文化の位相研究会、2014年1月14日、於:慶應義塾大学三田キャンパス 北館ホール。 HP:http://blo…

版画・カラー図版・言葉による説明という動物発生の表象:Ekholm "Fabricius's and Harvey's representations of animal generation"(2010)

とある初期近代医学史のゼミで、ハーヴィに関する研究文献を読んでいます。今回は、ハーヴィの発生論における表象の役割に注目し、それを彼の師の方法と比較検討した文献です。ちなみに、再来週の駒場科学史研究会では、本論文が所収されているAnnals of Sci…

キリスト教知識人による戦後改革と無教会第三世代:赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』(2013)#4

赤江達也『「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学』岩波書店、2013年、211–301頁。「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学作者: 赤江達也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/27メディア: 単行本この商品を含むブ…

無教会第二世代とキリスト教ナショナリズム:赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』(2013)#3

赤江達也『「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学』岩波書店、2013年、121–209頁。「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学作者: 赤江達也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/27メディア: 単行本この商品を含むブ…

教会・大学の外部としての雑誌と「紙上の教会」:赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』(2013)#2

赤江達也『「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学』岩波書店、2013年、35–119頁。「紙上の教会」と日本近代――無教会キリスト教の歴史社会学作者: 赤江達也出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/27メディア: 単行本この商品を含むブロ…

宗教の内面性・主体性から社会性へ:赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』(2013)#1

無教会キリスト教に注目して近代宗教について捉え返そうとした、赤江達也『「紙上の教会」と日本近代』を読みました。まずは「はじめに」、「序章 無教会キリスト教とは何か」、「終章 「紙上の教会」の日本近代」を中心に、全体を簡単に要約した読書メモを…

直方谷尾美術館

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福岡県の筑豊地方では、直方谷尾美術館・嘉麻市立織田廣喜美術館・田川市美術館という3つの公立美術館を拠点として、文化交流を促進する 「筑豊美術館ネットワーク(ちくネット)」という団体があるようです。先日、帰省した際にはその中から田川市美術館を…

沖縄・奄美大島におけるハンセン病者とキリスト教者:杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』(2009)#3

杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』大学教育出版、2009年、143–221頁。キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡作者: 杉山博昭出版社/メーカー: 大学教育出版発売日: 2009/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 「第四章 沖縄の…

静岡・満州・熊本におけるハンセン病者とキリスト教者:杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』(2009)#2

杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』大学教育出版、2009年、83–142頁。キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡作者: 杉山博昭出版社/メーカー: 大学教育出版発売日: 2009/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 「第二章 飯野十…

自然史系資料の保存は誰が担っているか:佐久間大輔「自然史系資料の文化財的価値」(2011)

今年7月に、日本科学史学会生物学史分科会・夏の学校において、「科学史・医学史をめぐる資料とアーカイブズ」といったテーマでのシンポジウム開催を予定しています。そこで、この主題に関連する文献を今後は読み進めていこうと思います。 佐久間大輔「自然…

初期近代における馬のための医療:Curth "The Care of the Brute Beast"(2002)

新年あけましておめでとうございます。2014年は午年ということにちなんで、初期近代における馬への医学に関する論文を読みました。これは10年程前に著されたものですが、著者はこのテーマについて最近単著を出したので、そちらもあわせて読んでおきたいもの…

戦前におけるハンセン病療養所の設置運動とキリスト教者:杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』(2009)#1

杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』大学教育出版、2009年、1–82頁。キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡作者: 杉山博昭出版社/メーカー: 大学教育出版発売日: 2009/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 本書は戦前のハンセ…

ドイツ医学史とナチズム:Rütten "Karl Sudhoff and 'the Fall' of German Medical History"(2004)

Thomas Rütten, "Karl Sudhoff and 'the Fall' of German Medical History," Frank Huisman and John Harley Warner, eds., Locating Medical History: The Stories and their Meanings, Baltimore and London: Johns Hopkins University Press, 2004, pp. 9…

JARS年末研究会「ルネサンスの知のコスモス――都市、人間、自然」(2013年12月23日、於:学習院女子大学)

JARS年末研究会2013「ルネサンスの知のコスモス――都市、人間、自然」に参加しました。本研究会は学習院女子大学の根占献一先生が代表をつとめる、科研基盤(B)「西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀」の一環としておこなわれたものです。個…

目が見えなくなること、人間であり続けること:足立貴美子「なぜ彼は」(1961)

第4回ハンセン病文学読書会に参加しました。今回は足立貴美子さんによる「なぜ彼は」(1961年)という短編小説を読みました。著者の足立さんは、本作品の舞台である栗生楽泉園(くりゅうらくせんえん;群馬県吾妻郡草津町)の入所者の方でしたが、それ以外の…

人類史のための科学史・医学史:Sarton "Second Preface to Volume XXIII"(1935)

サートンが1935年におこなった医学史に対する批判を読みました。最近、サートンの文明史(あるいは人類史)の構想についての研究論文をいくつか読みましたが、それを踏まえると、サートンのやや単純にも思える図式が理解出来る気がします。 George Sarton, "…

サートンの「科学史」構想と20世紀初頭のベルギーにおける知的ネットワーク:Pyenson & Verbruggen "Ego and the International"(2009)

Lewis Pyenson and Christophe Verbruggen, "Ego and the International: The Modernist Circle of George Sarton," Isis, 100(1), 2009, pp. 60–78. http://www.jstor.org/stable/10.1086/597572 ※ 上記URLから無料閲覧・DL可能 サートン(George Sarton, 1…

馬場わかな「社会国家と家族――1890年代〜1920年代のドイツにおける在宅看護・家事援助 (Hauspflege)を事例として」経済史研究会(2013年12月16日、於:東京大学大学院経済学研究科)

馬場わかな氏(日本学術振興会特別研究員)による、以下の研究会を聴講しましたので、簡単にその報告記を。 馬場わかな「社会国家と家族――1890年代〜1920年代のドイツにおける在宅看護・家事援助 (Hauspflege)を事例として」経済史研究会、2013年12月16日…

「宣教医ヘボン――ローマ字・和英辞書・翻訳聖書のパイオニア」横浜開港資料館

横浜開港資料館で開催中の「宣教医ヘボン」へ行ってきました。米国長老派教会系の医療宣教師であるヘボン(James Curtis Hepburn, 1815–1911)の展示が横浜開港資料館でおこなわれたのは、1983年の「ヘボンと横浜」展以来、実に30年ぶりのことだそうです。今…

19世紀から20世紀初頭における「狂気=神経」の治療:ショーター『精神医学の歴史』(1999)

エドワード・ショーター「第四章 神経」『精神医学の歴史――隔離の時代から薬物治療の時代まで』木村定訳、青土社、1999年、145–181頁。精神医学の歴史―隔離の時代から薬物治療の時代まで作者: エドワードショーター,Edward Shorter,木村定出版社/メーカー: …

19世紀ドイツを中心とした生物学的精神医学の登場とその終焉:ショーター『精神医学の歴史』(1999)

エドワード・ショーター「第三章 初期の生物学的精神医学」『精神医学の歴史――隔離の時代から薬物治療の時代まで』木村定訳、青土社、1999年、93–143頁。精神医学の歴史―隔離の時代から薬物治療の時代まで作者: エドワードショーター,Edward Shorter,木村定…