学振について:採用内定にかかる謝辞

 本日、学振(DC1)の内定通知をいただきました。非常にありがたく思うと同時に、今回の内定は研究室の方々によるご支援・ご協力の賜物であると実感しております。この場を借りて御礼申し上げます。

 思えば、修士課程入学前に研究室の大先輩であるS氏から学振の存在を知らされて以降、とりあえずの研究生活の目標を学振に設定していました。その後、(悪く言えば)業績欄を埋めることばかりを考え、台湾でのワークショップでの発表、および、国内学会での発表などを行いました。そして、学振の申請書を1月ぐらいから徐々に書き始めました。全体として完成したのは提出の直前でしたが、そのときに研究室の方に何度もみていただきました。特に、S氏およびS氏からは、申請書の論理的に危ういところを指摘していただき、本当にありがたかったです。また、S氏にはゼミの時に丁寧で率直なコメントをいただくことができました。研究室に学振をもらっている先輩が多くいることは非常に心強く、そういった方に出来るだけ多くみてもらうことによって、申請書の質を高めることが出来たと思っています。

 さて、学振の提出締め切り直前はなかなか思うように申請書が書けず、色々と不安に駆られることが多くなっていました。そんな時、某先生からは学振は運の要素も大きいということを聞き、とても励まされたものでした。曰く、学振の評価は、採点者の手元にある数十の書類の中の相対評価になっており、運が悪ければ相対的に優れた申請書が多い山に入れられ評価が低くなってしまうし、運が良ければその逆になるというものです。つまりは「あまり重く考えるな」ということを伝えていただいたとのだと思います。また、伊藤先生の以下のツイートは、学振に対して少々ナーバスになり過ぎていた自分の気持ちを落ち着かせてくれるものでした。

伊藤憲二 ‏@kenjiitojp
日本で院生をしていたとき、学振の面接まで行って落とされた年に、すぐ後でフルブライト奨学金に採択され、アメリカの尊敬する研究者に是非こいと言われた。それ以来、研究費の申請を落とされてもあまり気にならなくなった。
8:28 PM - 28 Oct 2011
https://twitter.com/kenjiitojp/status/129882201830600704

さらに、さきほどTwitterのタイムラインが学振をめぐって悲喜交交あったとき、矢田部俊介さんの以下のツイートには感銘を受けました。もし、このツイートが当時つぶやかれ、僕が見ていたら非常に励まされていたことでしょう。

Shunsuke Yatabe ‏@ytb_at_twt
学振がとれなかった院生の皆さん、一応私は研究者として先輩にあたるので、一言アドバイスしておきましょう。研究者にとってもっとも大切なことは、ポストや研究費といった世俗的栄光ではなく、結果や業績でもありません。何でもいいから生き残ることです。生きて研究できれば、それ自体が報酬です。
10:44 PM - 18 Oct 2012
https://twitter.com/ytb_at_twt/status/258926527792685056


 学振という制度に対しては色々と問題が指摘されています。もちろん、僕としてもそうった指摘に多くを共感しつつも、今は自分を取り巻く環境の中でやれることをやっていくしかないと思っています。実際、内定をもらうにせよ、落ちるにせよ、あの時期に研究計画を書けたことは、現在、修論を執筆していくにあたってかなり役立っていると思います。また、ともすれば「業績欄を埋める」ためにおこなった学会・ワークショップでの発表も、諸先生方から早い時期に問題点の指摘を受けることにつながりました。
 ともあれ、これはゴールでもなんでもありませんし、今は修論が少しでも良きものになるよう頑張っていくだけですので、今後とも引き続きご指導いただければ幸いです。また、申請書などのチェックを希望される方に対しては、僕が先輩方からしてもらったように、僕もできるだけお手伝いしたいと思っていますので、その際はお気軽にお声がけください。最後にもう一度、科学史・科学哲学研究室のみなさまに感謝申し上げます。