震災資料の収集と岩手県立図書館

 岩手県立図書館に行ってきました。なにか調べものがあって入ったわけではなかったのですが、施設があまりに充実していてテンションがあがってしまったので、簡単にその紹介記事を書いてみたいと思います。笑

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震災資料の収集・保存

 かなりの数の震災関連の図書が図書分類に従って配架されていました。また別のコーナーには、釜石市や山田町、大槌町など市町村の広報誌の収集・展示がおこなわれていました。なお、県立図書館ではこのような震災関連資料の収集を精力的に行っているそうです。もちろんそれには図書だけでなく、震災からの復興計画書、震災関連のイベント・セミナーのチラシ・配付資料、個人・団体の記録した手記、ボランティアなどの活動記録、あるいは震災に関わるフリーペーパーやミニコミ誌なども含まれています。ということで、僕も宮古でゲットしたフリーペーパー『Guff』(→コチラ)を早速寄贈してきました。手続きも簡単にできますし、後世に歴史を伝えていくためにも、できる限りのことはやっていきたいですね。なお、県立図書館への寄贈についてはコチラを。

点字図書館

 視覚障害の方のための点字図書館も併設されており、点字の小説・絵本・研究書などが数多く配架されていました。開架にしている図書は単純に利用頻度の高いものであるらしく、その多くは医学(とくに鍼灸)や文学の図書でした。とくに前者はそれなりに年季の入った本もあり、その本の内容などがとても気になるところでしたが、点字図書に関するOPACは一般利用不可ということだったので、詳しい書誌情報を調べることができませんでした。しかしながら、日本点字図書館が運営するサピエというサイトから検索が可能であるとのことです(→コチラ)。その他にも、フランスで点字を開発したルイ・ブライユ(1809–1852)やそれを日本へ導入した石川倉次(1859–1944)の簡単な紹介や点字タイプライターや視覚障害者用の娯楽品などの展示もおこなわれていました。また、開架図書の隣に点字図書でないレファレンスブックが置いてあったのですが、こちらは点字化のボランティアの方が利用するためのものであるとのことでした。なお、このボランティアは「岩手県立聴覚障がい者情報センター」との連携によって、県立図書館が主催する講習会に参加した方がおこなっているそうです。

映画の無料上映

 「としょかん映画会」として、月に数回映画の無料上映をおこなっているようです。前回は「植村直己物語」(1986年、佐藤純彌監督)が上映されており、次回は「和時計と江戸の時刻制度」(1998年)などが上映されるようです。そして、そういった映画の関連図書とそのリストのコーナーが設置されてありました。特に後者については、明治の改暦などの話もあるとのことなので、橋本毅彦・栗山 茂久(編)『遅刻の誕生』(三元社、2001年)が文献リストに入ってるかなと思って期待して見たのですが、残念ながら載っていませんでした。笑

郷土資料

 郷土資料のコーナーのなかに「郷土県人」というカテゴリがあり、彼らがあらわした本が図書分類別に配架されていました。こういった図書の収集もかなり熱心におこなっているようで、岩手県出身の人が書いた本だけでなく、岩手で出版された本、岩手に居住する人が書いた本など幅広く集めているそうです。ちなみに、そこには宮沢賢治石川啄木などと並んで、T・スクリーチ『大江戸視覚革命』(作品社、1998年)が並べられてあったので、さすがにスクリーチは岩手関係なくねって思って訳者をみたら、高山宏氏が岩手出身だったのですね。知りませんでした。笑

本の紹介

 蔵書の積極的な紹介も印象的でした。まず、図書館に入ってすぐ目に飛び込んできたのが、最近話題の「隕石」の関連図書でした。行動が早くて素晴らしいですね。笑 また、最近ではググることが情報検索において大きな位置を占めつつありますが、図書館としてレファレンスブックのすばらしさの紹介をおこなっていました。一般図書の紹介はよくみますが、参考図書をこのように紹介するのをみるのははじめてだったので個人的には新鮮でした。ちなみに、今回は所荘吉『図解古銃事典』(雄山閣、2006年)など6点ほどの参考図書のおすすめ度・おすすめのポイントが紹介されていました。さらに、「あの頃の教科書にもう一度会いたい」という企画として、教科書に掲載された小説などのリストがつくられ、配布されていました。こういった本の紹介企画に限らず、その他にも多くの企画(たとえば、「いわてのお酒」や「昆虫」、「ワーク・ライフ・バランス」などの小テーマ毎の参考文献を記した「パスファインダー」という企画)がありました。

 もちろん、以上のような充実した企画もさることながら、駅チカであることの利便性、明るくきれいで開放的な館内、丁寧なスタッフの方々のおかげで、とても有意義な読書タイムを送ることができました(`・ω・´)