レポートを書くまでに(基礎演習)#1:情報のインプット法

 基礎演習での「レポートの書き方」について簡単に教えることになったのでメモ。暫定版なので、色々と修正していきます。また、アドバイスがあればぜひ。
 なお、今回の基礎演習では、以下の三部構成を予定しており、今回は「1 情報のインプット法」についてです。本授業の対象は大学に入学して一ヶ月経っていない学生で、今回の授業では文献の検索法などを学ぶことが目標です。

1 情報のインプット法:図書館の活用法や文献の検索法など。
2 情報のプロセッシング法:文献の整理法やアウトラインの作成法など。
3 情報のアウトプット法:文章技法やパラグラフ・ライティングなど。

1 情報のインプット法
・レポートを書くには、なんといってもたくさんの「情報」が必要です。しかしながら、レポートには締め切りもあるので、できるだけ効率的に情報を集める必要があります。そのため、限られた時間のなかで信頼できる情報を効率的に集めることは、レポートを書き進める上でとても重要なスキルであるといえます。

1-1 効率的に情報を集めよう

1-1-1 図書館で集める
(i) 電子目録(OPAC; Online Public Access Catalog)を使って集めよう
東京大学OPAC https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/
大学図書館に設置してあるPC、あるいは、インターネットに接続している自分のPCから東大のOPACにアクセスし、蔵書を検索することができます。
・キーワードを入力して、一致検索をおこないます。その際、あらかじめ適切なキーワード(=「検索語」)を知っている必要があります。

【参考】 ブレインストーミングによってアイディアを共有しよう
・一人で考えているだけでは、適切なキーワードを思いつくができないので、みんなとたくさん意見を交換して、アイディアを共有しよう。
・つまらない意見なんじゃないかと不安にならずに、とにかくしゃべろう。量より質!
・司会役を決めて、必ず全ての人が意見を言えるように促そう。
・相手の意見を頭ごなしに否定するのではなく、それがより良くなるようなアイディアを代わりに提示してみよう。
・アイディアを大きな紙に書き、みんなで情報を共有しよう。

(ii) 図書分類(日本十進分類法)を使って集めよう
・図書館の本は全国同一の分類法に従って並べられています。つまり、同じテーマの本は隣り合わせに置いてあることになります。
(例:レポート・論文の書き方に関する本→「816.5」、科学史に関する本→「402」)
・図書分類1000区分一覧表(港区立図書館)http://www.lib.city.minato.tokyo.jp/j/tosyobunrui1.html
・レポートのテーマに関する背景知識が少ないときは、OPACでみつけた本の近くにある本も同時にチェックしてみましょう。
・ただし、同じテーマの本でも、別々のところに分類されていることもあるので注意する必要があります。
(例:生命倫理に関する本→「490 医学」や「150 倫理」、あるいは「490.15」と分類されることも。)

【参考】 読みたい本が駒場図書館にない!?
(a) 駒場図書館に取り寄せる
・「MyOpac」(要登録)を通じて、東大の別の図書館あるいは他大学の図書館から本を取り寄せることができます。これは今後必ず使うことになるので、すぐに登録しておきましょう。
・MyOPAC https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/myopac/index.php?LANG=0
(b) 地元の図書館や都立・区立の図書館を探す
・各図書館の蔵書検索はインターネットを通じておこなうことができます。ただし、登録情報が最新版ではないことが多いため注意が必要です。なお、ちょっとしたことを調べるときは、地元の図書館で事足りることが多いので、上手く使い分けましょう。

1-1-2 インターネットで集める
・インターネット上には「情報」が膨大にあるので、情報をうまく「検索」する能力が非常に重要です。その際、信頼できるデータベースを活用することで、より有用な情報に容易にアクセスすることができるようになります。

(i) 図書データベース
・CiNii Books:全国の大学図書館の蔵書検索。 http://ci.nii.ac.jp/books/
NDL-OPAC国立国会図書館の蔵書検索。 https://ndlopac.ndl.go.jp/
・WorldCat:海外の図書館の蔵書検索。 http://www.worldcat.org/
Webcat Plus:「連想検索」による図書検索。 http://webcatplus.nii.ac.jp/
新書マップ:「連想検索」による新書の検索。 http://shinshomap.info/

(ii) 論文データベース
・CiNii:日本国内で出版された論文の検索。 http://ci.nii.ac.jp/
・Web of Science:海外で出版された論文の検索。
Google Scholar:全世界の論文・図書の検索。 http://scholar.google.co.jp/

【参考】 GaCoSを通じて各種データベースにアクセスしよう
東京大学は数多くの団体と契約しているため、学術雑誌や百科事典、新聞記事データベースなどを無料で閲覧・DLすることが出来ます。
・GaCoS(東京大学学生のための総合的な学術情報ポータル)を通じて、各種データベース(CiNii、Web of Science、ジャパンナレッジなど)にアクセスすれば、かなりの数の論文・図書・事典などを無料で読むことができます。
・学外からアクセスする場合は、ECCS(東京大学情報基盤センター教育用計算機システム)のアカウントによってログインする必要があります。
・GaCoS http://www.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/gacos/
・ECCS http://www.ecc.u-tokyo.ac.jp/

(iii) 検索エンジン
・もちろん、Googleなどの検索エンジンから情報を集めてもよいでしょう。ただし、インターネット上には情報が膨大にあるので、うまく限定しながら検索するスキルを身につける必要があります。
・また、上記データベースのページなど、全てのページが検索エンジンからたどりつけるわけではありません。

【参考】 インターネット上手に検索する方法
・限定検索(例:「"東京大学"」)
・除外検索(「大学 -東京大学」)
・OR検索(東京大学 OR 京都大学
・ファイル検索(「東京大学 filetype:pdf)
・サイト内検索(「東京大学 site:http://***」)


1-2 本や論文を読もう

1-2-1 まずは基礎知識を身につけよう
・基礎知識がない状態で、いきなり論文や専門書を読んでもわからないので、百科事典や入門書、新書などでそのテーマに関する基礎的な知識を身につけましょう。
・その際、いきなり一冊の本を熟読するのではなく、出来るだけ多くの本をさっと読み、ある一つのテーマに対して複数の考え方やアプローチがあることをおさえるよう心がけましょう。

(i) 百科事典
・百科事典:『国史大辞典』、『岩波哲学・思想事典』、『新編西洋史辞典』など。また、『生命倫理百科事典』などのように、より専門的な分野に特化した百科事典もあります。時事問題については、『現代用語の基礎知識』など。紙媒体の事典だけでなく、インターネットを通じて利用できる、オンライン百科事典もあります。たとえば、複数の辞典・事典を収録した『ジャパンナレッジ』はGaCoSを通じて無料で利用することができ、レポート・論文執筆に際して最も有用なツールです。
・図書館では参考図書(レファレンスブック)コーナーとして分野を問わず一箇所にまとめられていることが多いです。図書分類をうまく活用しながら、探してみましょう。
・百科事典で調べたい項目をひき、その関連語もどんどんひいていきましょう。また、項目の最後に付されている「参考文献」を読んでみるのも良いでしょう。
(例:「生命倫理」→「臓器移植」、「インフォームド・コンセント」、「パターナリズム」/エンゲルハート『バイオエシックスの基礎づけ』加藤尚武訳、朝日出版社、1989年、など。;
レヴィナス」→「現象学」、「フッサール」、「イリヤ」、「<顔>」、「ノエシスノエマ」)

(ii) 新書・入門書
・「新書」と呼ばれる本は、その分野の専門家が一般大衆に向けて平易な文章で書いたもので、あるテーマ・トピックの基礎知識を勉強する際にはとても有用です。ためしに、岩波新書中公新書講談社現代新書ちくま新書平凡社新書などの中から、テーマに近そうなものを読んでみましょう。ただし、最近は多くの出版社が「新書」規格を出しているので、新書の良し悪しをしっかりと見極める必要があります。
・また、『○○を学ぶ人のために』(世界思想社が出版しているものが有名)、『○○入門』といったタイトルの本はまさにその分野の初学者に向けて書かれているので、そういった入門書からは最低限の知識を得ることができます。このときもやはり、最初はできるだけ薄くて、読みやすそうな本を手に取るのが良いでしょう。

【参考】 「どこ」から本を読むか?
・本の薄さ・厚さ、ソフトカバー・ハードカバー、文庫・新書
・雑誌(学術雑誌、商業雑誌、準学術雑誌)・図書(入門書、専門書、啓蒙書)
・著者、タイトル、出版社、出版年
・目次、はじめに、おわりに、参考文献

1-2-2 より具体的なテーマに関する専門書や論文を読もう 【次回以降】
・ある程度その分野の背景知識が身についたら、具体的なテーマに関する専門書や論文を読んでいきましょう。
(1) 芋づる方式
・本や論文の参考文献をたどって、「芋づる式」に関連する文献をみつけましょう。
(例:Aという本の参考文献→a、b、cという文献→aの参考文献であるa1、a2、a3;bの参考文献であるb1、b2、b3;cの参考文献であるc1、c2、c3とたどっていく)
・一つ一つの文献を深く読み込んだりすることをせず、ある程度、本・論文を集めきったら読み始めましょう。

(2) 二次文献方式
・入門書の巻末にある文献リストから、関連する論文を探しましょう。これらは、「さらに学びたい人のために」あるいは「Further Reading」などと題されていることが多いようです。
・大学や学会などがそれぞれのホームページで、その分野の基礎文献を紹介していることもあります。こちらも大いに活用しましょう。たとえば、「三田哲学会所属専攻・分野別 文献案内」(http://www.flet.keio.ac.jp/~bibiken/mita-tetsu/)では、倫理学や美学・美術史学、社会学文化人類学、教育学、心理学などの基礎文献が紹介されています。
・学会の専門雑誌では、より専門的な文献に関する最近の動向を知ることができます。たとえば、歴史学分野では『史学雑誌』の「回顧と展望」(毎年5月号の特集)で、歴史学のそれぞれの分野の研究潮流が紹介されています。

(3) 直接人に聞く方式
・図書館のレファレンスサービスも活用しましょう。彼ら/彼女らは情報検索のスペシャリストなので、情報を探すときに大いに手助けしてくれることでしょう。
・自分が興味をもった授業の先生に直接文献を聞くのもよいでしょう。その際、質問はなるべく具体的にするよう心がけましょう。たとえば、既にどのような本を読み、そこからどういった話題に関心をもったかなど。

関連文献

新版 大学生のためのレポート・論文術  (講談社現代新書)

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特に、本書の「4 文献・資料の集め方と整理の方法」(149–194頁)が今回の授業と関連しています。


新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)

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特に、本書の「第3章 論文にはダンドリも必要だ」(52–77頁)が今回の授業と関連しています。


レポートの組み立て方 (ちくま学芸文庫)

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特に、本書の「3.4 材料を集める」(72–100頁)が今回の授業と関連しています。