拙著『医学とキリスト教』(8月26日刊行)が予約可能となりました

拙著『医学とキリスト教——日本におけるアメリカ・プロテスタントの医療宣教』が8月26日に法政大学出版局より刊行されます。Amazonなどにが少し前から簡単な情報は掲載されていましたが、このたび、書影や目次などもすべてアップされましたので、こちらのブログでも紹介いたします。 

内容紹介:幕末からアジア・太平洋戦争後に至るまで、多くの医師資格をもつプロテスタント宣教師がアメリカより日本に派遣され、医療を通じて人々にキリスト教を広めていった。ドイツの強い影響下にあった明治期以降の日本医学界において、アメリカ人医療宣教師たちはいかにその活動を拡大していったか。日々の診療のみならず、医学・看護教育、慈善事業・公衆衛生事業など多岐にわたる彼らの活動とその変遷を検証する。

また、法政大学出版局のページには、honto、紀伊國屋Web Store、ヨドバシ.com、楽天ブックス、HonyaClub、オムニ7、HMVTSUTAYAYahoo!ショッピングなどへの予約リンクも記載されております。普段使われているサービスなどからご予約いただけますと幸いです。

出版まであと2週間を切りましたが、それまでに少しずつ本ブログで関連記事を書いていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 

第1回オンライン国際ワークショップ “Women and Medicine in the Japanese Empire”(8月14日)

2021年8月14日17〜19時(日本時間)で一回目のオンライン国際ワークショップ“Women and Medicine in the Japanese Empire”が開催されます。今回は、帝国日本における医師・栄養士・看護師に関する3つの報告がおこなわれます。是非ご参加ください。公式サイトは以下の通りです。

genderandmedicineinjapan.weebly.com

H-Japan (H-Net)、日本医史学会、洋学史学会でも広報していただきました。

お知らせ|日本医史学会

洋学史学会 The Society for the History of Western Learning in Japan

Virtual Workshop: Women and Medicine in the Japanese Empire (August 14, JST) | H-Japan | H-Net

なお、今回のオンライン国際ワークショップはシリーズで開催予定で、同じ主題(帝国日本における女性と医療)で、第2回を10月に、 第3回を12月に開催予定です。報告に関心がある方は藤本までご連絡ください。

『戦争とトラウマ』著者・中村江里さんへのインタビューが公開されました

中村江里さんの『戦争とトラウマ——不可視化された日本兵の戦争神経症』(吉川弘文館、2017年)のインタビューをおこない、学術書の著者インタビューサイト「ブック・ラウンジ・アカデミア」に掲載していただきました。

www.bookloungeacademia.com

中村さんには、なぜこの研究をはじめたか、どのようにして史料を探し、インタビューをおこなったか、病床日誌という史料の可能性などについて、約20分お話しいただいております。是非聞いてみてください。

また、中村さんは以下の著作に“Male Hysteria in Modern Japan: Trauma, Masculinity, and Military Psychiatry during the Asia-Pacific War”という論文も寄稿しており、9月に刊行予定です。こちらも楽しみです。

今後も、医学史関連の新刊書の著者インタビューなどをおこなっていければと思っています。

CFP: Virtual Workshop “Women and Medicine in the Japanese Empire” August 14, 2021 (JST)

 オークランド大学のEllen Nakamura先生と以下のような企画をおこなうことになりました。関心のある方は是非ご応募いただければ幸いです。また、関心がありそうな方と情報をシェアしていただけるとありがたいです。

Call for Participants

“Women and Medicine in the Japanese Empire” August 14, 2021 (JST)

Organizers: Hiro Fujimoto (Kyoto University/JSPS)/Ellen Nakamura (The University of Auckland)

Proposal submission deadline: May 31, 2021

 

ワークショップのページはこちら: 

https://genderandmedicineinjapan.weebly.com/001cfp.html

 H-Net Japanに掲載されたCFPはこちら: 

https://networks.h-net.org/node/20904/discussions/7575831/cfp-virtual-workshop-“women-and-medicine-japanese-empire”-august

 

ワークショップ自体は英語でおこなわれます。また、Zoomなどを使用したオンラインワークショップですので、どこからでも参加が可能です。大学院生やEarly Career Researcherの方の報告も歓迎ですし、国際学会での経験が少ない方もぜひ応募を検討してください。私の方でサポートできることはいたします。何か質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

なお、このワークショップ開催に際して、Research Group "Gender and Medicine in Japanese History"という研究グループも立ち上げました。日本におけるジェンダーと医療の歴史に関して、様々な意見交換・交流ができればと思います。基本的には、今回のようなワークショップを開催していき、最終的にはこのテーマに関連する論文集を出版できればと思っています。よろしくお願いいたします。 

genderandmedicineinjapan.weebly.com

日本語版New Books Networkのはじまり?

ブック・ラウンジ・アカデミア(Book Lounge Academia, BLA)という、学術専門書の著者インタビューサイト(日本語)が始まったようです。

 

www.bookloungeacademia.com

 

アメリカには、New Books Network(NBH)という学術専門書の著者インタビューサイトがありますので、BLAのコンセプトはかなりNBHと近いですね。日本にもNBHのようなサイトがあればいいなぁと思っていたところでしたので、BLAの創設はとても素晴らしいと思いました。

 

現在の運営メンバーは、石塚輝紀氏、松田ヒロ子氏(神戸学院大学・専任教員)、山本和行氏(天理大学・専任教員)とのこと。最初のインタビューは先月下旬にアップされており、現在まで以下の2本がアップされております。

 

山本和行『自由・平等・植民地性——台湾における植民地教育制度の形成』(国立台湾大学出版中心、2015年)
インタビュアー:冨田哲氏

 

youtu.be

 

 

・Motoe Sasaki (佐々木一惠), Redemption and Revolution: American and Chinese New Women in the Early Twentieth Century (Ithaca: Cornell University Press, 2016).
インタビュアー:松田ヒロ子氏

 

youtu.be

 

早速、両方聞いてみましたが、著作のねらいや、もとになった博士論文の執筆背景、出版に至るまでの経緯や悩みなどについても言及されており、とても面白かったです。また、両著作とも日本国外の出版社で出版されたものであるという点も興味深いですね。今後も、様々な学術書が紹介されていくのだと思います。楽しみです。

アーカイブズ・カレッジのクラウドファンディングがおこなわれています

 現在、国文学研究資料館国文研)がアーカイブズ・カレッジのためのクラウドファンディングをおこなっております。
 
 
 アーカイブズ・カレッジとは、アーカイブズ学の基礎・応用を多彩な講師陣から誰でも学ぶことができる研修会です。
 
 アーカイブズ・カレッジには長期コース(約1ヶ月)と短期コース(約1週間)の2つがあり、私は長期コースを2013〜2014年度に分割で履修しました。そこでアーカイブズ学に関する基礎知識を得ることが出来ただけでなく、関心が近い方と多く知り合うことが出来、非常に貴重な経験となりました。このときの参加記録は自身のホームページ(https://hirofujimoto.weebly.com/archivescollege.html)でもまとめています。また、アーカイブズ・カレッジでの修了論文として医療アーカイブズに関する論文を執筆し、『国文学研究資料館紀要 アーカイブズ研究篇』に掲載していただき、その寄稿を通じてさらに新たな方とも知り合うことができました。
 
 そんなアーカイブズ・カレッジですが、長期コースが国文研(東京)で開催されるのに対し、短期コースは毎年全国をまわる形式で実施されていました。私自身は短期コースに参加したことはないですが、実際にアーカイブズ活動に従事される方の中で、仕事の関係で長く休めない、長期コースは遠方であるのでしづらいといった方にとっては、短期コースが地方開催されてきたことはとても意義のあるものであったと思います。
 
 しかしながら、短期コースの開催の予算が突如削減されてしまったため、今後、その開催が難しくなっているというニュースが6月頭に入ってきました。そのため、国文研は300万円を目標に設定し、クラウドファンディングを開始しました。昨今、公文書の不在の問題、あるいは、自然災害による被災資料のレスキューの必要性などもあり、アーカイブズの重要性がとくに高まっています。そのため、このクラウドファンディングに対する世間からの関心も非常に高く、開始からわずか3週間ほどで目標額に達し、短期コース2回分の予算をなんとか確保することが出来たようです。
 
 私がアーカイブズ・カレッジを受講した際にお世話になった先生によれば、現在は、第二の目標金額を設定し、さらにクラウドファンディングを続け、それを通じて多くの人にアーカイブズの意義について知ってもらおうと考えているようです。クラウドファンディングのホームページには、アーカイブズの活動内容に関する読みやすいブログ記事なども多く掲載されていますので、是非チェックしてみてください。締め切りは8月7日(金)午後11時とのことです。

論文:藤本大士「近代日本におけるアメリカ人医療宣教師の活動——ミッション病院の事業とその協力者たち」(東京大学大学院総合文化研究科、2019年3月)

 昨年度、博士論文「近代日本におけるアメリカ人医療宣教師の活動——ミッション病院の事業とその協力者たち」を提出しました。もし、論文に関心のある方はお気軽に<fujimoto.daishi[at]gmail.com>にまでご連絡ください。目次は以下の通りです。 

藤本大士「近代日本におけるアメリカ人医療宣教師の活動——ミッション病院の事業とその協力者たち」(東京大学大学院総合文化研究科、2019年3月) 

目次

凡例

序論 アメリカ人医療宣教師と近代日本

第1節 問題の所在
第2節 先行研究の検討
第3節 方法と対象
第4節 分析視角
第5節 本論文の課題
第6節 資料と用語
第7節 構成

第1章 医療宣教のはじまり

はじめに
第1節 医療宣教開始の背景
第2節 最初期の来日医療宣教師
第3節 ヘボンによる医学教育
小括

第2章 医療宣教の広がり

はじめに
第1節 医療宣教拡大の背景
第2節 1870年代の来日医療宣教師
第3節 医学教育者および宣教師としての活動
小括

第3章 医療宣教の変化

はじめに
第1節 医療宣教低迷の背景
第2節 教員および聖職者としての活動
第3節 ドア・オープナーからキリスト教人道主義の実践者へ
小括

第4章 女性医療宣教師

はじめに
第1節 女性医療宣教師来日の背景
第2節 1880–1890年代の来日女性医療宣教師
第3節 医療宣教中止の理由
第4節 医療宣教継続のために
小括

第5章 宣教看護婦

はじめに
第1節 宣教看護婦来日の背景
第2節 1880–1890年代における看護婦養成と宣教師
第3節 1920–1930年代におけるミッション看護学校
第4節 ミッション看護学校の意義
小括

第6章 セブンスデー・アドベンチスト教会と水治療法

はじめに
第1節 セブンスデー・アドベンチスト教会における医療の位置づけ
第2節 日本における医療宣教の展開
第3節 医療宣教成功の要因
小括

第7章 アメリカ聖公会と国際病院・公衆衛生事業

はじめに
第1節 初期事業
第2節 外国人への医療提供
第3節 予防医学・公衆衛生
第4節 国家総動員体制下
第5節 宗教活動
小括

第8章 民間からの戦後医療改革

はじめに
第1節 ドイツ医学からアメリカ医学への転換
第2節 病院制度
第3節 インターン制度
第4節 看護制度
小括

第9章 発展する医療宣教

はじめに
第1節 戦後のミッション病院
第2節 ミッション病院の特教
第3節 チームとしての医療と宣教
小括

結論 アメリカ人医療宣教師と医学史・ミッション史

第1節 ミッションにおける医療宣教師の役割の変化
第2節 ドイツ医学の時代における医学教育
第3節 日本人による医療との差別化
第4節 日本における医療とキリスト教の総合史にむけて

文献リスト

新聞・定期刊行物・書籍等
研究論文・研究書・年史等