2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「辺境」の調査者と被調査者:坂野徹『フィールドワークの戦後史』(2011)#1

ここ数年にわたってフィールドサイエンスに関する調査を進めていた坂野先生ですが、昨年末ついに本書『フィールドワークの戦後史』が出版されました!本書はとくに、戦後すぐに学会の枠を超えて組織された九学会連合と、そこでの民俗学者・宮本常一の活動を…

ゴールドラッシュと水供給:森下直紀「サンフランシスコ市における水道事業公営化への史的展開」(2011)

森下直紀「サンフランシスコ市における水道事業公営化への史的展開」『Core ethics:コア・エシックス』7、2011年、285–298頁。 http://www.r-gscefs.jp/?p=1382 ※ 無料閲覧・DL可能 18世紀の中頃から19世紀の初頭のアメリカでは水道史における一つの大きな…

帝国と宣教医療:Kakar "Leprosy in British India, 1860–1940"(1996)

前回エントリ(コチラ)に引き続き今回も宣教医療に関する文献を。宣教医療という研究テーマへの注目を促した重要な研究の一つです。 Sanjiv Kakar, "Leprosy in British India, 1860–1940: Colonial politics and missionary medicine," Medical History, 4…

西洋医学受容をめぐる宣教師と地方政府の役割:秦惟人「近代寧波における医療伝道について」(2005)

前回のエントリ(コチラ)では、科学史(医学史)とグローバル・ヒストリーとの関係を論じるにあたって、「コンタクト・ゾーン」への着眼が重要であると指摘されていることを学びました。そして、まさにその「コンタクト・ゾーン」の一つである中国の開港都…

科学知識の「循環」とグローバル・ヒストリー:Roberts "Situating Science in Global History" (2009)

月曜日に迫ったIsis Focus読書会に向けて、科学史とグローバル・ヒストリー(以下、GH)に関する文献を読みました。著者は科学史家ですが科学史だけでなくGHの特徴を端的に捉え、科学史のGHへの接続に向けて示唆に富んだ問題提起をしています。 なお、読書会…

医療史アーカイブズ構築への提案:廣川和花「近代日本の疾病史資料の保存と公開にむけて」(2012)

歴史研究者にとって史資料をいかに保存し、活用していくかという問題は避けては通れません。多くの研究者は自ら資料のアーカイビングに関わっていますが、医学史や科学史といった研究領域においてはそれらに比べるとあまり活発に進められていないようです。…

文献リスト:藤本大士「秋田藩領および幕領の鉱山における医療環境」〔修士論文〕(2013)

今日は修士論文の締め切り日だったのですが、研究室の同期とともに、無事に提出することができました(正確には昨日提出したのですが・・・)。締め切り直前は色々と大変でしたが、研究室の皆さまの大きなサポートのおかげで、なんとか乗り切ることができました…

地域・国家のなかの青年組織:ウォーターズ「地域史・国家史・世界史の架け橋としての青年会」(2005)

ニール・ウォーターズ「地域史・国家史・世界史の架け橋としての青年会」河西英通・浪川健治・ウィリアム・スティール(編)『ローカルヒストリーからグローバルヒストリーへ――多文化の歴史学と地域史』岩田書院、2005年、151–163頁。ローカルヒストリーから…

医療技術による「身体」の再定義:Schlich "The Technological Fix and the Modern Body"(2010)

授業のアサインメントとして、20世紀に外科学が与えた社会的・文化的インパクトを概観した文献を読みました。 Thomas Schlich "The Technological Fix and the Modern Body: Surgery as a Paradigmatic Case," Ivan Crozier, ed., A Cultural History of the…