2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

言説分析について(2):橋爪大三郎「知識社会学と言説分析」(2006)

とある授業のアサインメントの続きです。本章は、前回読んだ友枝論文と比較して、似ているとされる知識社会学と言説分析の方法論の相違点を強調していたので、わかりやすかったように思えます。しかし、実際に言説分析を使った論文を読まなくては、やっぱり…

患者記録から描かれる医学史:Risse & Warner "Reconstructing Clinical Activities" (1995)

Guenter B. Risse, John Harley Warner, "Reconstructing Clinical Activities: Patient Records in Medical History," Social History of Medicine, 5(2), 1995: 183-205. 医学史研究において、ケース・ヒストリーと呼ばれるタイプの史料群がある。16世紀以…

言説分析について(1):友枝敏雄「言説分析と社会学」(2006)

とある授業のアサインメントとして、「言説分析」の方法論についての文献を読みました。なお、今回の授業では、こういった学説史的な勉強を目的とするのではなく、その方法論を実際に使えるようになることを目的としています。ということで、今後、実際に言…

医学における苦痛への関心:Pernick "The calculus of suffering in 19th-century surgery" (1983)

Martin S. Pernick, "The calculus of suffering in 19th-century surgery," Hastings Center Report, 13, 1983: 26-36. Reprinted in Judith Walzer Leavitt and Ronald L. Numbers, eds., Sickness and Health in America: Readings in the History of Med…

医学の様式、科学・技術の様式:Jewson ”The disappearance of the sick-man from medical cosmology” (1976) & Pickstone ”Commentary” (2009)

医学史における重要論考の一つである歴史社会学者ジューソンの論文を読みました。医学史に社会学的な視点を導入することで、17〜18世紀における医学的世界観を見事に記述しています。それぞれの時代における、医学のパトロン、医療者・患者の位置づけ、医学…

宗教改革と医学というメタファー:那須敬「病としての異端」(2002)

那須敬「病としての異端――17世紀内戦期イングランドにおける神学と医学」石塚久郎、 鈴木晃仁編『身体医文化論:感覚と欲望』慶應義塾大学出版会 、2002年、67–90頁。身体医文化論―感覚と欲望作者: 石塚久郎,鈴木晃仁出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発…

ヴィクトリア・リー「梶雅範論文へのコメント」金森修(編)『昭和前期の科学思想史』合評会(2012年4月14日 於:東京大学本郷キャンパス)

前回のエントリでも書きましたが、先日の金森修(編)『昭和前期の科学思想史』の合評会(金森修編著『昭和前期の科学思想史』(勁草書房、2011年)合評会 - les livres lus au clair de la lune)におけるリーさんのコメントと梶先生のリプライをまとめまし…

藤本大士「<愼蒼健論文へのコメント>昭和漢方の内と外――漢方医学史および植民地科学史の観点から」金森修(編)『昭和前期の科学思想史』合評会(2012年4月14日 於:東京大学本郷キャンパス)

14日(土)に金森修(編)『昭和前期の科学思想史』(勁草書房、2011年)の合評会が行われました。(金森修編著『昭和前期の科学思想史』(勁草書房、2011年)合評会 - les livres lus au clair de la lune) そして、今回、同書所収の愼蒼健先生の論文「第…

科学思想とイデオロギーの関係:坂野徹「日本人起源論と皇国史観」(2011)

坂野徹「第三章 日本人起源論と皇国史観──科学と神話のあいだ」金森修(編著)『昭和前期の科学思想史』勁草書房、2011年、243-310頁。昭和前期の科学思想史作者: 金森修出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2011/10/11メディア: 単行本 クリック: 29回この商…

植民地支配のための昭和漢方:愼蒼健「日本漢方医学における自画像の形成と展開」(2011)

今週末にせまった『昭和前期の科学思想史』合評会のため、僕が担当する愼蒼健先生の論文を要約しました。なお、合評会詳細については、下記エントリをご覧ください。金森修編著『昭和前期の科学思想史』(勁草書房、2011年)合評会 - les livres lus au clai…

医療機器の製作者と利用者:月澤美代子「明治初頭日本における医療技術の移入・受容過程」(2009)

今日の研究会で科学機器(医療機器)に関する雑誌の特集を読んだため、日本における医療機器について書かれたものを読んでみました。 月澤美代子「明治初頭日本における医療技術の移入・受容過程――外科器具「イクラセウル」と「焼灼電気器」を中心に」『日本…

植民地科学における非公式ネットワーク: Harrison "Science and the British Empire" (2005)

Mark Harrison, "Science and the British Empire," Isis, 96(1), 2005: 56-63. ※無料閲覧可:Isis, Vol. 96, No. 1, March 2005 本論考は、ここ数十年多くの注目を浴びている「植民地科学」研究について、大英帝国における科学活動の事例を中心に、これまで…

西洋、日本への対抗としての医学思想:愼蒼健「覇道に抗する王道としての医学」(1999)

今月14日(土)に開催される『昭和前期の科学思想史』合評会に向けて、僕がコメントする愼蒼健先生の関連論文を読みました。なお、合評会詳細はオーガナイザーの奥村大介さんの下記ブログまで。 2012-02-01 - les livres lus au clair de la lune まだまだ申…

医療機器が呼び起こす身体感覚:Arnold & Söderqvist "Medical Instruments in Museums" (2011)

研究室の学生を中心として行っているIsis Focus読書会ですが、研究会用に医療機器に関する論文のサマリーをつくりました。なお、研究会の詳細については、下記リンクをご覧下さい。どなたでも参加を歓迎しますので、興味がある方はお気軽にご連絡ください。 …