2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

戦前におけるハンセン病療養所の設置運動とキリスト教者:杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』(2009)#1

杉山博昭『キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡』大学教育出版、2009年、1–82頁。キリスト教ハンセン病救済運動の軌跡作者: 杉山博昭出版社/メーカー: 大学教育出版発売日: 2009/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 本書は戦前のハンセ…

ドイツ医学史とナチズム:Rütten "Karl Sudhoff and 'the Fall' of German Medical History"(2004)

Thomas Rütten, "Karl Sudhoff and 'the Fall' of German Medical History," Frank Huisman and John Harley Warner, eds., Locating Medical History: The Stories and their Meanings, Baltimore and London: Johns Hopkins University Press, 2004, pp. 9…

JARS年末研究会「ルネサンスの知のコスモス――都市、人間、自然」(2013年12月23日、於:学習院女子大学)

JARS年末研究会2013「ルネサンスの知のコスモス――都市、人間、自然」に参加しました。本研究会は学習院女子大学の根占献一先生が代表をつとめる、科研基盤(B)「西欧ルネサンスの世界性と日本におけるキリシタンの世紀」の一環としておこなわれたものです。個…

目が見えなくなること、人間であり続けること:足立貴美子「なぜ彼は」(1961)

第4回ハンセン病文学読書会に参加しました。今回は足立貴美子さんによる「なぜ彼は」(1961年)という短編小説を読みました。著者の足立さんは、本作品の舞台である栗生楽泉園(くりゅうらくせんえん;群馬県吾妻郡草津町)の入所者の方でしたが、それ以外の…

人類史のための科学史・医学史:Sarton "Second Preface to Volume XXIII"(1935)

サートンが1935年におこなった医学史に対する批判を読みました。最近、サートンの文明史(あるいは人類史)の構想についての研究論文をいくつか読みましたが、それを踏まえると、サートンのやや単純にも思える図式が理解出来る気がします。 George Sarton, "…

サートンの「科学史」構想と20世紀初頭のベルギーにおける知的ネットワーク:Pyenson & Verbruggen "Ego and the International"(2009)

Lewis Pyenson and Christophe Verbruggen, "Ego and the International: The Modernist Circle of George Sarton," Isis, 100(1), 2009, pp. 60–78. http://www.jstor.org/stable/10.1086/597572 ※ 上記URLから無料閲覧・DL可能 サートン(George Sarton, 1…

馬場わかな「社会国家と家族――1890年代〜1920年代のドイツにおける在宅看護・家事援助 (Hauspflege)を事例として」経済史研究会(2013年12月16日、於:東京大学大学院経済学研究科)

馬場わかな氏(日本学術振興会特別研究員)による、以下の研究会を聴講しましたので、簡単にその報告記を。 馬場わかな「社会国家と家族――1890年代〜1920年代のドイツにおける在宅看護・家事援助 (Hauspflege)を事例として」経済史研究会、2013年12月16日…

「宣教医ヘボン――ローマ字・和英辞書・翻訳聖書のパイオニア」横浜開港資料館

横浜開港資料館で開催中の「宣教医ヘボン」へ行ってきました。米国長老派教会系の医療宣教師であるヘボン(James Curtis Hepburn, 1815–1911)の展示が横浜開港資料館でおこなわれたのは、1983年の「ヘボンと横浜」展以来、実に30年ぶりのことだそうです。今…

19世紀から20世紀初頭における「狂気=神経」の治療:ショーター『精神医学の歴史』(1999)

エドワード・ショーター「第四章 神経」『精神医学の歴史――隔離の時代から薬物治療の時代まで』木村定訳、青土社、1999年、145–181頁。精神医学の歴史―隔離の時代から薬物治療の時代まで作者: エドワードショーター,Edward Shorter,木村定出版社/メーカー: …

19世紀ドイツを中心とした生物学的精神医学の登場とその終焉:ショーター『精神医学の歴史』(1999)

エドワード・ショーター「第三章 初期の生物学的精神医学」『精神医学の歴史――隔離の時代から薬物治療の時代まで』木村定訳、青土社、1999年、93–143頁。精神医学の歴史―隔離の時代から薬物治療の時代まで作者: エドワードショーター,Edward Shorter,木村定…

「国立」の上野動物園における戦利動物のディスプレイ:木下直之「展示される戦利動物」(2009)

木下直之「展示される戦利動物」川口幸也(編)『展示の政治学』水声社、2009年、83–102頁。展示の政治学作者: 宮下規久朗,川口幸也出版社/メーカー: 水声社発売日: 2009/09メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る 今日の日本には…

日本医学図書館と明治期神田の医師・政治家・キリスト教者:堀江幸司「「日本医学図書館」と金杉英五郎」、「「日本医学図書館」」(1985)

明治30(1897)年に設立された日本医学図書館の歴史に関する論文を読みました。日本医学図書館は関東大震災によって幕を閉じることになりますが、その施設は当時の医学者や政治家、キリスト教者と関係のなかで生まれたものであり、非常に興味深い研究対象で…

石橋悠人「経度の測定とイギリス帝国」(2013年12月7日、於:日本大学理工学部)

日本科学史学会主催が主催する第26期(2013年度)科学史学校に参加しました。隔月でおこなわれている講演会ですが、今回は石橋悠人さん(日本学術振興会特別研究員PD/京都大学)による「経度の測定とイギリス帝国」という講演でした。会場は満員で、その参…

Isis Focus 読書会 #11「学問領域を整理する:科学史における分類」(2013年12月6日、於:東京大学)

第11回のIsis Focus読書会のテーマは「学問領域を整理する:科学史における分類」でした。個人的に面白かったと思うことや学んだことを簡単にメモしておきます。 Isis Focus 読書会 #11「学問領域を整理する:科学史における分類」(2013年12月6日、於:東京…

デカルトにおける形而上学と医学の関係:山田弘明「デカルトと医学」(2004)

とある初期近代医学思想史の授業のアサインメントとして、「デカルト医学」について論じた文献を読みました。なお、デカルトの医学思想の集大成として、『人体の記述 La description du corps humaine』(1648年)がその晩年に記されていますが、本論文には…

アーカイブズ学におけるいくつかの変革と科学アーカイブズ:Anderson "The Organization and Description of Science Archives in America"(2013)

12月6日(金)に迫ったIsis Focus読書会に向けて、自分の担当箇所のレジュメをつくりました。今回の特集は"Ordering the Discipline"です。なお、読書会はどなたでも、(Google+を通じて)どこからでも参加可能ですので、参加希望の方は藤本にまでお気軽にご…

医療宣教における朝鮮人「伝導婦人」の活用:入江友佳子「1910年代朝鮮のセブランス病院における出産・育児に関する医療宣教活動」(2010)

入江友佳子「1910年代朝鮮のセブランス病院における出産・育児に関する医療宣教活動――「伝道婦人」の存在に着目して」『日本の教育史学 教育史学会紀要』53、2010年、69–81頁。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110009554133 ※ 上記リンクより無料閲覧・DL可能 192…

16世紀イタリアの大学における医学と哲学の関係:Schmitt "Aristotle among the physicians" (1985)

とある初期近代医学思想史の授業のアサインメントとして、アリストテレス研究の泰斗チャールズ・シュミットがルネサンス期の医学と哲学の関係について論じた文献を読みました。 Charles B. Schmitt, "Aristotle among the physicians," in A. Wear, R.K. Fre…