2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

本家・分家間の医療政策の対立と「御救」:野口朋隆「近世中後期、小城藩主の資質・役割と「生命維持」」(2013)

野口朋隆「近世中後期、小城藩主の資質・役割と「生命維持」」『歴史評論』754、2013年、48–61頁。 佐賀藩の支藩である小城藩は、近世中後期に藩財政の危機に直面していた。そのような窮状を打開するために、小城藩は山内と呼ばれる地域を中心に藩政改革を推…

リストをつくることの認知的効果:Müller-Wille & Charmantier "Lists as Research Technologies"(2013)

5月1日(水)に迫ったIsis Focus読書会に向けて、自分の担当箇所のレジュメをつくりました。今回の特集は「リストマニア」です。なお、読書会はどなたでも、(Google+を通じて)どこからでも参加可能ですので、参加希望の方は藤本にまでお気軽にご連絡くださ…

宣教師の手を離れた南蛮系宇宙論のゆくえ:平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』(2013)#2

とうとう明日に迫った『南蛮系宇宙論の原典的研究』出版記念イベントに向けて、平岡さんの本の後半部をまとめました。なお、第6章のみ別エントリ(コチラ)でまとめていますので、以下では4・5章と結論部を要約しております。 ちなみに、このイベントの模様…

幕末京都の医療環境:有坂道子「幕末京都における医家と医療」(2013)

有坂道子「幕末京都における医家と医療」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、179–200頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2013…

激動の織豊時代と治療対象の変化:田端泰子「曲直瀬玄朔とその患者たち」(2013)

田端泰子「曲直瀬玄朔とその患者たち」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、130–169頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2013/0…

「霊的武器」としての西洋宇宙論:平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』(2013)#1

週末のイベントに向けて、平岡さんの本の前半部をまとめました。 平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』花書院、2013年、1–102頁。 『南蛮系宇宙論の原典的研究』特設ページ:購入はコチラから ※ 残り部数わずか!Amazonなどでは販売されていないので注意! …

レポートを書くまでに(基礎演習)#2:情報のプロセッシング法

基礎演習での「レポートの書き方」の授業用にメモ。暫定版なので、色々と修正していきます。次は「2 情報のプロセッシング法」の部分を。ここでは、1で収集した情報をうまく整理し、3の論文執筆の準備の仕方を学ぶことを目標とします。 1 情報のインプット法…

レポートを書くまでに(基礎演習)#1:情報のインプット法

基礎演習での「レポートの書き方」について簡単に教えることになったのでメモ。暫定版なので、色々と修正していきます。また、アドバイスがあればぜひ。 なお、今回の基礎演習では、以下の三部構成を予定しており、今回は「1 情報のインプット法」についてで…

寛政改革における仁政イデオロギーの変化:宣芝秀「「御救」から「御備」へ」(2012)

宣芝秀「「御救」から「御備」へ――松平定信「寛政の改革」にみられる社会安定策」『日本思想史研究』44、2012年、29-47頁。 松平定信による享保の改革では、諸藩に対する囲籾令や七分積金令にみられるように、幕府によって各藩での備蓄が大いに奨励されるこ…

第三の極としてのアメリカ人医療宣教師:長門谷洋治「近代日本における外人宣教医の研究」(1970)

幕末から明治期における医療宣教師たちの活動をまとめた文献を読みました。当時やって来た医療宣教師たちの略歴や個々人に関する先行研究の紹介など、非常に有益なサーベイ論文であり、このトピックに関心をもつ者にとって必読文献でしょう。 長門谷洋治「近…

議論政治の誕生による公議輿論という帰結、暴力による排斥という帰結:朴薫「一九世紀前半日本における「議論政治」の形成とその意味」(2010)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より日本および朝鮮における議論政治という政治文化について論じた文献を読みました。 朴薫「7 一九世紀前半日本における「議論政治」の形成とその意味」明治維新学会(編)『講座 明治維新 …

負担増に抗い、自立する全国諸藩:岸本覚「安政・文久期の政治改革と諸藩」(2011)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より幕末の政治史を論じた文献を読みました。 岸本覚「3 安政・文久期の政治改革と諸藩」明治維新学会(編)『講座 明治維新 2 幕末政治と社会変動』有志舎、2011年、85–115頁。講座 明治維…

報告:藤本大士「江戸時代の公権力と医療――秋田藩領および幕領の鉱山における医療政策の展開」火ゼミ(2013年4月9日、於:東京工業大学)

科学史を専門とする研究者が所属を超えて集う、「火ゼミ」で報告させていただきました。以下の文章は『火ゼミ通信』に掲載用のものです。 藤本大士「江戸時代の公権力と医療――秋田藩領および幕領の鉱山における医療政策の展開」火ゼミ(2013年4月9日、於:東…

とあるアメリカ人医療宣教師たちの履歴:佐伯理一郎「幕末及明治に於けるアメリカ醫師の活動に就いて」(1950)

佐伯理一郎「幕末及明治に於けるアメリカ醫師の活動に就いて」『基督教研究』24(1)、1950年、69–76頁。 http://jairo.nii.ac.jp/0027/00021615/en ※ 無料閲覧・DL可 幕末から明治初年に日本にやってきたアメリカ人医療宣教師たちの履歴を紹介したもの。昭和2…

『本草綱目』を準備した宋代の医学発展:島居一康「『本草綱目』に見る中国医療の到達点」(2013)

島居一康「『本草綱目』に見る中国医療の到達点」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、25–44頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日…

キリスト教禁制後の日本人知識人と南蛮系宇宙論:平岡隆二「『南蛮運気論』の流布と受容」(2013)

本日、とうとうゲットしました!各所で話題沸騰中の、平岡さんの新刊『南蛮系宇宙論の原典的研究』を!ぱらぱらとみてみたのですが、これはもう素晴らしいの一言につきますね。日本側の史料だけでなく、欧州の史料も渉猟し、キリシタン時代の宇宙論を総合的…

公家に独占されていた医学知識の伝播:細川涼一「鎌倉幕府の医師」(2013)

細川涼一「鎌倉幕府の医師」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、25–44頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2013/04/01メディア…

医療行為・医療施設における藤原氏のヘゲモニー:増渕徹「平安中後期における貴族と医師」(2013)

増渕徹「平安中後期における貴族と医師」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、3–24頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2013/04…

藤本大士「<研究動向>身体障害をめぐる医療の歴史」(2013)

昨年夏に開催された生物学史分科会・夏の学校「<小特集>生物学史と現代の対話」(2012年6月24日、於:総合研究大学院大学)での拙報告を所収した『生物学史研究』が出版されたようです。 藤本大士「<研究動向>身体障害をめぐる医療の歴史――医学史と障害…

中央から地方へと変わる百姓撫育の担い手:有富純也「百姓撫育と律令国家」(2003)

有富純也「百姓撫育と律令国家――儒教的イデオロギー政策を中心に」『史学雑誌』112(7)、2003年、1195-1216頁。 のち、有富純也「第一章 百姓撫育と律令国家――儒教的イデオロギー政策を中心に」『日本古代国家と支配理念』(東京大学出版会、2009年)として所…

明治初年における官費での救助率の地域差:大杉由香「本源的蓄積期における公的扶助と私的経済」(1994)

大杉由香「本源的蓄積期における公的扶助と私的経済――岡山・山梨・秋田を中心に」『社会経済史学』60(3)、1994年、349–378、451頁。 幕末から日清戦争までの時期に注目し、官費による公的扶助と隣保扶助などの私的救済がどのような関係にあったかを岡山・山…

民衆救済から医官教育の場へ:町泉寿郎「江戸医学館における臨床教育」(2013)

最新の『日本医史学雑誌』(本号の目次はコチラ)から、町先生の医学館に関する論考をまとめました。医学館の目的の変化など、個人的にも気になっていた部分に言及してあり、非常に勉強になりました。 町泉寿郎「江戸医学館における臨床教育」『日本医史学雑…

目次:『日本医史学雑誌』59(1)、2013年3月

本日、『日本医史学雑誌』の最新号(59(1)、通巻1549号)が届きました。今回は原著論文3本(うち、英語論文1本)、書評4本などが所収されています。 <原著> ・Akihito Suzuki, "Psychiatry in the Land of Suicide: Medicalization of Self-killing in Ear…