2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

19世紀における生と死の科学化と世俗化:Laqueur and Cody "Birth and death under the sign of Thomas Malthus"(2010)

とある授業のアサインメントとして、最近注目の『身体の文化史』シリーズから「生と死」の科学化・世俗化について取り扱った文献を読みました。本論考は医学史ではオーソドックスな「生と死」という主題を扱っていますが、そのことを宗教・文化から科学・政…

レジャーとしての動物園に対する大衆の期待、学者の思惑:伊東剛史「19世紀ロンドン動物園における科学と娯楽の関係」(2006)

昨日、オシテオサレテにて伊東剛史さんによる19世紀ロンドンの動物園についての研究が紹介されており、非常に興味をもったので僕も便乗して氏の別論文を読んでみました。 余暇としての動物園に着目することは、イギリス社会経済史上でも非常に斬新な視点です…

学振について:採用内定にかかる謝辞

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本日、学振(DC1)の内定通知をいただきました。非常にありがたく思うと同時に、今回の内定は研究室の方々によるご支援・ご協力の賜物であると実感しております。この場を借りて御礼申し上げます。 思えば、修士課程入学前に研究室の大先輩であるS氏から学振…

ピーター・バーク「情報の乏しかった時代/情報が溢れ出ている時代」(2012年10月14日、於:東洋大学円了記念ホール)

ケンブリッジ大学のピーター・バーク氏が東洋大学で講演されるということでしたので、喜んで行ってきました。説明するまでもなく、バーク氏は稀代のルネサンス研究者で、同時にさまざまな歴史学理論に関する著作も執筆している世界で最も有名な歴史家の一人…

ノーベル賞推薦状にみる日本医学界の動向と科学観:岡本拓司「戦前期日本の医学界とノーベル生理学・医学賞」(2002)

ここ数日ノーベル賞をめぐって世間が賑わっておりますが、今回は戦前の日本におけるノーベル生理学・医学賞に関して検討した文献を読みました。ノーベル賞をめぐる書籍は一般書から専門書まで数多くありますが、岡本先生による一連のノーベル賞研究は基礎文…

目次:『日本医史学雑誌』58(3)、2012年9月

本日、『日本医史学雑誌』の最新号(58(3)、通巻1547号)が届きました。本号も原著論文7本、書評3本と盛りだくさんの内容になっております。また、今井正浩「<ひろば>ガレノスと古代ギリシア・ローマ医学史研究の現在」はこの道の研究者にとっては必読であ…

教育・統治・医療の場としての郷校:工藤航平「地域史からの「郷学」の再評価(2008)

工藤航平「地域史からの「郷学」の再評価――明治三年前橋藩領川島分界の川島書堂創設を事例に」『文書館紀要』21、2008年、77-105頁。 郷校は近世から近代初期にかけての教育機関の一つであるが、これは藩校とも寺子屋とも異なる教育機能を有していた。先行研…

文献表:藤本大士「近世後期の秋田藩における医療政策――公的医療の位置づけをめぐって」洋学史学会月例会(2012年10月7日、於:電気通信大学)

藤本大士「近世後期の秋田藩における医療政策――公的医療の位置づけをめぐって」洋学史学会月例会、電気通信大学、2012年10月7日。 昨日、洋学史学会月例会で発表させていただきました。内容は近世後期の秋田藩の鉱山における医療環境の整備について、秋田藩…

江戸における蘭方医の隆盛と近郊農村医療の変遷:長田直子「近世後期における患者の医師選択」(2004)

本日の洋学史学会月例会の予習もかねて、長田さんの優れた研究論文を読みました。ロイ・ポーター以降、海外では患者の視点からみた医学史研究が数多く提出されましたが、日本の医学史研究では残念ながらそういった視点にたった研究はまだ多くありません。そ…

漢方医の修行と幕末期医師の多様なライフコース:長田直子「幕末期在村における医師養成の実態」(2002)

明日(日付変わって今日)、「近世後期の秋田藩における医療政策」という題目で、洋学史学会月例会で発表させていただくのですが、近世日本の医療史を専攻する長田直子さんもご発表されます。そこで、長田さんが幕末期の医師養成の実態について論じた研究論…