2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧
上野周子「紀州藩の医療政策と地域社会」『三重大史学』7、2007年、1-20頁。 1980年以降、医療の社会史研究は飛躍的に進展した。とりわけ、在村レベルの蘭方医や地域における民衆への医療の実態がかなりの程度明らかにされた。一方、領主権力が医師に対して…
江戸時代の医学教育史に関する基礎的な文献をチェックしました。限定刷であるため、図書館などでの所蔵は多くないかもしれませんが、医学教育の歴史を調べる上では最低限目を通しておくべき著書です。 山崎佐『各藩医学教育の展望』東京:国土社、1955年。各…
江戸時代の医学教育に関する海原亮氏の優れた文献を読みました。このトピックは、かつて山崎佐『各藩医学教育の展望』(国土社、1955年、限定刷)において、先駆的かつ概略的な研究が提示されましたが、その後に続く研究成果はほとんど出ていないというのが…
明日は駒場で生物学史研究会「ジェンダーと科学史」(http://goo.gl/BZSI6)が開催されますが、予習もかねて、報告者の横山美和さんの論考を読みました。 横山美和「19世紀後半アメリカにおける「女性」の構築と科学言説――E.クラークの女子高等教育論を中心…
内藤正中「石見銀山の鉱山病対策――宮太柱の『済生卑言』」『日本海地域史研究』9、1989年、263-284頁。 江戸時代の鉱山における労働環境は悲惨であった。鉱山内に立ちこめる有毒ガスによって、身体を壊さざるを得なかった鉱山労働者たちは、採掘をはじめてか…
秋田に史料調査に来ているのですが、秋田県の鉱山関係者(関連施設職員や技術者、歴史研究者、地域団体など)による市民向けの講演会が、秋田大学鉱業博物館で行われていたため一部聴講してきました。講演会は50名ほどの方が参加され大盛況でしたが、以下で…
秋田藩の藩校・明徳館についてまとめた文献を読みました。修論用メモです。 加藤民夫「明徳館の学統をめぐる諸問題――秋田藩学館制度の一側面」『秋大史学』48、2002年、1-14頁。 江戸時代、藩は藩校を設立することによって藩士の教育をおこなおうとした。鈴…
10月に速水融『歴史人口学の世界』(岩波書店、1997年)が岩波現代文庫で復刊されるそうですね。速水氏は日本に歴史人口学を導入し、近世日本の社会史研究の水準を飛躍的に上げた方ですが、同時にその分析手法は医療の社会史研究にも大きな洞察を与えていま…
英国ウェルカム財団が発行している一般向けの医学史雑誌『ウェルカム・ヒストリー』誌の最新号が届きました。今回はその中からアン・ボルセイ(ウェールズ/スウォンジー大学)による「障害と産業社会」に関する記事を読みました。なお、この記事は他の記事…
「回顧と展望」『史学雑誌』(2012年6月号)にも紹介されていた江戸時代の医療の社会史に関する研究文献を読みました。近世日本の医療施設について考察するとき、それと藩との関係ばかりに注目するのではなく、民衆がどれほど設立にコミットしたかについての…
『記録と史料』はアーカイブズ学の動向や各地域での活動を紹介する専門誌として有名ですが、本誌には「アーカイブズ・ネットワーク 南から北から」というコーナーがあり、様々なアーカイブズでの取り組みを紹介しています。今回は特に科学史に関連するアーカ…
江戸時代の医療の社会史を研究する上で、基礎的な文献である海原氏の論考を読みました。特に、公的医療との関連を意識してまとめました。修論用メモ。 海原亮「近世都市の「医療」環境と広小路空間」吉田伸之・長島弘明・伊藤毅(編)『江戸の広場』東京大学…