内藤記念くすり博物館

・内藤記念くすり博物館

HP:http://www.eisai.co.jp/museum/
住所:岐阜県各務原市川島竹早町1
最寄り駅:JR岐阜駅、名鉄一宮駅ほか

 2014年2月29日訪問。行きは名鉄犬山線「江南」駅からタクシーで15分ほど(2000円ぐらい)かけて博物館へ。帰りは博物館から名鉄バス「川島口」まで歩き(25分ぐらい)、バスで20分ほどかけて「名鉄一宮」駅へ。アクセスがよい場所にあるというわけではありませんが、にもかかわらず、その素晴らしいコレクションは医学史研究者であれば必ず一度は訪れるべき博物館の一つです。
 医薬史の日本最大級のコレクションをもつ内藤記念くすり博物館は、メディアなどでもしばしば取り上げられており、医学史を専門とする方だけでなく、一般の方にも人気のある博物館です。展示されている資料も、色彩豊かなものが多く、見ていて楽しいものばかりです。博物館に入ってすぐに目に入るのは多数の薬店の看板です。これだけ大きな看板が店先に出ていたら、ついつい覗いてみたいと思わせるようなものでした。その後、常設展がはじまりますが、最初に出迎えてくれるのは古代中国で病除けの神獣とされた「白沢」の置物です。おじさんのような顔でありながら、獣の身体をもつその姿をみると確かになんとなく守られている気がしないことはありません(笑)。ちなみに江戸時代にコレラが流行したときには白沢を描いた絵が流行し、人々はそれを身につけて病除けをしたそうです。それに続くのは、漢方医学に関する大きな絵画、屏風、彫像などから典籍や写本、絵馬、人形など本当に多数の種類のコレクションです。みていて少しハッとするのは、江戸時代の経絡人形でしょうか。白塗りの人形に、全身の経絡を示す点・線が描かれています。元禄5(1692)年に、岡本一抱の同門の医学者・井原道悦によってつくられたその人形は、その後筑紫流按腹の笹亦家に200年以上も受け継がれたものだそうです。もちろん、その他にも実際の薬(生薬を含む)も展示されており、それらがどのような道具を使って、どのような手順で調剤されていたかを示す案内も示されています。また、特別展示も開催されており、僕が訪問したときは「くすりと医療の照古鑒今(しょうこかんこん) ――漢方の源流と医薬の近代化産業遺産」(会期:2013年4月26日〜2014年3月30日)がおこなわれていました。これは、2009年に博物館所蔵のくすり看板・広告、製薬道具などが「近代化産業遺産認定」を受けたことを受けて企画されたもので、展示室では「使い捨てないカイロ」などが紹介されていました。なお入口では、これまでの企画展などに関する図録が多数販売されており、こちらも非常に魅力的でした。
 なお、博物館のOPAChttp://search.eisai.co.jp/php/valuable_search.php:ttile=コチラ)では、資料関係は和装本のみ全件検索が可能です。とくに、利用頻度の高い資料については、既にデジタル化・一般公開されているものも多く、それらはリスト化(http://www.eisai.co.jp/museum/information/facility/archive/index.html:ttile=コチラ)されています。そのリストにはまだ掲載されていないものでも既にデジタル化されているものもあるらしいので、関心があれば問い合わせてみるとよいでしょう。一方、古文書などの目録は一般には公開されていないので、担当の方におおよその関心の分野をお伝えして、照会することになります。