k_日本史

江戸時代の人参にみるグローバルヒストリー:西垣昌欣「江戸長崎屋の機能」(2002)

江戸時代における朝鮮人参をめぐる諸政策について調べていたので、関連する部分をメモしました。著者はあまり強調していませんが、江戸時代における人参をめぐる東アジアのネットワークはとても興味深く感じました。 西垣昌欣「江戸長崎屋の機能――文化期にお…

対馬藩と人参貿易:田代和生『近世日朝通交貿易史の研究』(1981)

田代和生「第13章 人参の国内販売」『近世日朝通交貿易史の研究』創文社、1981年、383–399頁。近世日朝通交貿易史の研究作者: 田代和生出版社/メーカー: 創文社発売日: 2002/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログを見る 江戸時代における日…

長野における朝鮮人参栽培開始時期をめぐって:斎藤洋一「信濃国佐久地方への朝鮮人参栽培の導入」(1995)

斎藤洋一「信濃国佐久地方への朝鮮人参栽培の導入」大石慎三郎(編)『近世日本の文化と社会』雄山閣出版、1995年、127–153頁。近世日本の文化と社会作者: 大石慎三郎出版社/メーカー: 雄山閣出版発売日: 1995/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件)…

復古主義と進歩主義をつなぐ有司専制批判:猪飼隆明「近代化と士族」(2012)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より明治初期の士族反乱について新たな見方を提示している文献を読みました。 猪飼隆明「3 近代化と士族――士族反乱の歴史的位置」明治維新学会(編)『講座 明治維新 4 近代国家の形成』有志…

豪農・知識人にみる幕末・明治期における公論の連続性:宮地正人「風説留から見た幕末社会の特質」(1999)

宮地正人「第三章 風説留から見た幕末社会の特質――「公論」世界の端緒的成立風説」『幕末維新期の社会的政治史研究』岩波書店、1999年、121–154頁。幕末維新期の社会的政治史研究作者: 宮地正人出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1999/03/26メディア: 単行本…

豪農と国学者・藩士の間の情報ネットワーク:岩田みゆき「幕末の対外情報と在地社会」(2010)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より幕末期の民衆による積極的な情報収集活動について論じた文献を読みました。 岩田みゆき「2 幕末の対外情報と在地社会」明治維新学会(編)『講座 明治維新 1 世界史のなかの明治維新』有…

主体的に情報を集める民衆:高部淑子「日本近世史研究における情報」(2002)

10年前に書かれた、近世日本史における「情報」研究のサーベイ論文を読みました。この間、本論文で紹介された論文がかなり書籍化されており、研究の進展がうかがえます。 高部淑子「日本近世史研究における情報」『歴史評論』630、2002年、28-39頁。 日本近…

森鴎外における近代的知と民俗的知の一体性:野村幸一郎「錯乱と祟りの間」(2013)

野村幸一郎「錯乱と祟りの間――森鴎外『蛇』の問題圏」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、228–258頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版…

要旨:藤本大士「近世後期の秋田藩による医療政策の展開」第114回日本医史学会・第41回日本歯科医史学会(2013年5月12日、於:日本歯科大学)

先月おこなわれた日本医史学会での僕の発表要旨を掲載します。なお、以下に掲載する要旨は、『日本医史学雑誌』「第114回日本医史学会・第41回日本歯科医史学会 合同総会抄録号」59(2)、2013年、269頁に所収されているものと同じものです。 藤本大士「近世後…

農村における漢方医学と西洋医学の共存:高久嶺之介「明治前期の村と衛生・病気」(2013)

高久嶺之介「明治前期の村と衛生・病気――京都府乙訓郡上植野村を対象に」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、201–227頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メ…

JARS第1回ウェブ対談 「平岡隆二 『南蛮系宇宙論の原典的研究』を語る!」(2013年4月27日、於:Google ハングアウト)

先週、平岡隆二さんの新刊『南蛮系宇宙論の原典的研究』出版記念イベントが開催されましたが、かなり反響があったようで、今日現在、YouTubeでは400回再生を超え、はてなブックマークも10個もついてしまうという人気ぶりです!ということで、せっかくなので…

本家・分家間の医療政策の対立と「御救」:野口朋隆「近世中後期、小城藩主の資質・役割と「生命維持」」(2013)

野口朋隆「近世中後期、小城藩主の資質・役割と「生命維持」」『歴史評論』754、2013年、48–61頁。 佐賀藩の支藩である小城藩は、近世中後期に藩財政の危機に直面していた。そのような窮状を打開するために、小城藩は山内と呼ばれる地域を中心に藩政改革を推…

宣教師の手を離れた南蛮系宇宙論のゆくえ:平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』(2013)#2

とうとう明日に迫った『南蛮系宇宙論の原典的研究』出版記念イベントに向けて、平岡さんの本の後半部をまとめました。なお、第6章のみ別エントリ(コチラ)でまとめていますので、以下では4・5章と結論部を要約しております。 ちなみに、このイベントの模様…

幕末京都の医療環境:有坂道子「幕末京都における医家と医療」(2013)

有坂道子「幕末京都における医家と医療」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、179–200頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2013…

激動の織豊時代と治療対象の変化:田端泰子「曲直瀬玄朔とその患者たち」(2013)

田端泰子「曲直瀬玄朔とその患者たち」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、130–169頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2013/0…

「霊的武器」としての西洋宇宙論:平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』(2013)#1

週末のイベントに向けて、平岡さんの本の前半部をまとめました。 平岡隆二『南蛮系宇宙論の原典的研究』花書院、2013年、1–102頁。 『南蛮系宇宙論の原典的研究』特設ページ:購入はコチラから ※ 残り部数わずか!Amazonなどでは販売されていないので注意! …

寛政改革における仁政イデオロギーの変化:宣芝秀「「御救」から「御備」へ」(2012)

宣芝秀「「御救」から「御備」へ――松平定信「寛政の改革」にみられる社会安定策」『日本思想史研究』44、2012年、29-47頁。 松平定信による享保の改革では、諸藩に対する囲籾令や七分積金令にみられるように、幕府によって各藩での備蓄が大いに奨励されるこ…

第三の極としてのアメリカ人医療宣教師:長門谷洋治「近代日本における外人宣教医の研究」(1970)

幕末から明治期における医療宣教師たちの活動をまとめた文献を読みました。当時やって来た医療宣教師たちの略歴や個々人に関する先行研究の紹介など、非常に有益なサーベイ論文であり、このトピックに関心をもつ者にとって必読文献でしょう。 長門谷洋治「近…

議論政治の誕生による公議輿論という帰結、暴力による排斥という帰結:朴薫「一九世紀前半日本における「議論政治」の形成とその意味」(2010)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より日本および朝鮮における議論政治という政治文化について論じた文献を読みました。 朴薫「7 一九世紀前半日本における「議論政治」の形成とその意味」明治維新学会(編)『講座 明治維新 …

負担増に抗い、自立する全国諸藩:岸本覚「安政・文久期の政治改革と諸藩」(2011)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より幕末の政治史を論じた文献を読みました。 岸本覚「3 安政・文久期の政治改革と諸藩」明治維新学会(編)『講座 明治維新 2 幕末政治と社会変動』有志舎、2011年、85–115頁。講座 明治維…

報告:藤本大士「江戸時代の公権力と医療――秋田藩領および幕領の鉱山における医療政策の展開」火ゼミ(2013年4月9日、於:東京工業大学)

科学史を専門とする研究者が所属を超えて集う、「火ゼミ」で報告させていただきました。以下の文章は『火ゼミ通信』に掲載用のものです。 藤本大士「江戸時代の公権力と医療――秋田藩領および幕領の鉱山における医療政策の展開」火ゼミ(2013年4月9日、於:東…

とあるアメリカ人医療宣教師たちの履歴:佐伯理一郎「幕末及明治に於けるアメリカ醫師の活動に就いて」(1950)

佐伯理一郎「幕末及明治に於けるアメリカ醫師の活動に就いて」『基督教研究』24(1)、1950年、69–76頁。 http://jairo.nii.ac.jp/0027/00021615/en ※ 無料閲覧・DL可 幕末から明治初年に日本にやってきたアメリカ人医療宣教師たちの履歴を紹介したもの。昭和2…

キリスト教禁制後の日本人知識人と南蛮系宇宙論:平岡隆二「『南蛮運気論』の流布と受容」(2013)

本日、とうとうゲットしました!各所で話題沸騰中の、平岡さんの新刊『南蛮系宇宙論の原典的研究』を!ぱらぱらとみてみたのですが、これはもう素晴らしいの一言につきますね。日本側の史料だけでなく、欧州の史料も渉猟し、キリシタン時代の宇宙論を総合的…

公家に独占されていた医学知識の伝播:細川涼一「鎌倉幕府の医師」(2013)

細川涼一「鎌倉幕府の医師」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、25–44頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2013/04/01メディア…

医療行為・医療施設における藤原氏のヘゲモニー:増渕徹「平安中後期における貴族と医師」(2013)

増渕徹「平安中後期における貴族と医師」京都橘大学女性歴史文化研究所(編)『医療の社会史――生・老・病・死』思文閣出版、2013年、3–24頁。医療の社会史―生・老・病・死作者: 京都橘女子大学女性歴史文化研究所出版社/メーカー: 思文閣出版発売日: 2013/04…

中央から地方へと変わる百姓撫育の担い手:有富純也「百姓撫育と律令国家」(2003)

有富純也「百姓撫育と律令国家――儒教的イデオロギー政策を中心に」『史学雑誌』112(7)、2003年、1195-1216頁。 のち、有富純也「第一章 百姓撫育と律令国家――儒教的イデオロギー政策を中心に」『日本古代国家と支配理念』(東京大学出版会、2009年)として所…

明治初年における官費での救助率の地域差:大杉由香「本源的蓄積期における公的扶助と私的経済」(1994)

大杉由香「本源的蓄積期における公的扶助と私的経済――岡山・山梨・秋田を中心に」『社会経済史学』60(3)、1994年、349–378、451頁。 幕末から日清戦争までの時期に注目し、官費による公的扶助と隣保扶助などの私的救済がどのような関係にあったかを岡山・山…

民衆救済から医官教育の場へ:町泉寿郎「江戸医学館における臨床教育」(2013)

最新の『日本医史学雑誌』(本号の目次はコチラ)から、町先生の医学館に関する論考をまとめました。医学館の目的の変化など、個人的にも気になっていた部分に言及してあり、非常に勉強になりました。 町泉寿郎「江戸医学館における臨床教育」『日本医史学雑…

城下町における救済の形態:エーラス「身分社会の貧民救済」(2010)

近世日本史における貧民救済に関する研究は吉田伸之氏や北原糸子氏のものが有名ですが、このトピックは日本の研究者のみならず海外の研究者をも惹きつけているようです。今日は、マーレン・エーラス氏が日本の研究書に寄稿された論文をまとめました。ちなみ…

更生意欲のない者の発見とそれへの不信感:植野真澄「「白衣募金者」とは誰か」(2005)

戦傷病者とその家族の労苦を伝えることを目的とした資料館「しょうけい館」に行って来ました。興味深い展示品が多く、非常に素晴らしい資料館でありました。ということで、そちらで学芸員をされている植田真澄さんの論文を簡単にまとめてみました。 植野真澄…