美術館アーカイブズにおける展覧会記録と作品記録の保存・整理:川口雅子「美術館アーカイブズが守るべき記録とは何か」(2012)

アーカイブズ・カレッジ受講のまっただ中ですが、そろそろ修了論文を執筆していかないといけないので、過去の受講生による修了論文で、それがのちに学術誌に掲載されているものを読んでいます。本論文は、国立西洋美術館・情報資料室の川口さんによるもので…

医学史におけるオーラル・ヒストリー研究のサーヴェイ:Tomes "Oral history and the history of medicine"(1991)

Nancy Tomes, "Oral history and the history of medicine," The Journal of American history, 78(2), 1991, pp. 607-617. 医学史という分野におけるオーラル・ヒストリー(以下、OH)は、Peter Olchという先駆者により1960年代より研究が進められてきた。…

科学史におけるオーラル・ヒストリー研究のサーヴェイ:Doel "Oral History of American Science"(2003)

Ronald E. Doel, "Oral History of American Science: A Forty-year Review," History of Science, 41, 2003, pp. 349-378. http://adsabs.harvard.edu/full/2003HisSc..41..349D ※ 上記リンクから無料閲覧・DL可能 科学史という分野では、1950年代後半より…

鉱石をめぐるグローバル・ヒストリー:竹田和夫(編)『歴史のなかの金・銀・銅』(2013)

寄稿者の一人である仲野義文氏(石見銀山資料館・館長)より御恵投いただきました。ありがとうございます。以下、簡単に紹介を。 竹田和夫(編)『歴史のなかの金・銀・銅――鉱山文化の所産』勉誠出版、2013年。歴史のなかの金・銀・銅 -鉱山文化の所産- (ア…

中国地方の歴史を広く知ってもらうために:公益社団法人中国地方総合研究センター(編)『「海」の交流』(2012)

寄稿者の一人である仲野義文氏(石見銀山資料館・館長)より御恵投いただきました。ありがとうございます。以下、簡単に紹介を。 公益社団法人中国地方総合研究センター(編)『「海」の交流――古代から近世までの瀬戸内海・日本海』中国地方総合研究センター…

オーラル・ヒストリーが明らかにする科学コミュニティのみえざるメンバーたち:Chowdhury "A Historian among Scientists"(2013)

8月23日(金)に迫ったIsis Focus読書会に向けて、自分の担当箇所のレジュメをつくりました。今回の特集は「科学、歴史、そして近代インド」です。なお、読書会はどなたでも、(Google+を通じて)どこからでも参加可能ですので、参加希望の方は藤本にまでお…

世界記憶遺産・山本作兵衛の記録画と筑豊炭坑の歴史:田川市石炭・歴史博物館

実家に帰省しているので、筑豊炭田にまつわる博物館・美術館に行ってきました。その第三弾は、福岡県田川市にある「田川市石炭・歴史博物館」です。 ・田川市石炭・歴史博物館 HP:http://www.joho.tagawa.fukuoka.jp/sekitan/ 住所:福岡県田川市大字伊田27…

千田梅二による筑豊炭坑の版画:田川市美術館

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実家に帰省しているので、筑豊炭田にまつわる博物館・美術館に行ってきました。その第二弾は、福岡県田川市にある「田川市美術館」です。 ・田川市美術館 HP:http://www.joho.tagawa.fukuoka.jp/bijyutu/ 住所:福岡県田川市新町11-56 最寄り駅:JR田川後藤…

筑豊石炭鉱業組合・直方会議所や多数の炭坑画:直方市石炭記念館

実家に帰省しているので、筑豊炭田にまつわる博物館・美術館に行ってきました。その第一弾は、福岡県直方市にある「直方市石炭記念館」です。 ・直方市石炭記念館 HP:http://www.yumenity.jp/sekitan/sekitan.html 住所:福岡県直方市大字直方692-4 最寄り…

漁業からみる帝国日本の内と外/生物学史研究会(2013年8月10日、於:東京大学駒場キャンパス)

「漁業からみる帝国日本の内と外」というテーマで生物学史研究会を開催いたしました。一参加者としてその報告のメモを。 漁業からみる帝国日本の内と外/生物学史研究会(2013年8月10日、於:東京大学駒場キャンパス) http://researchmap.jp/evzwufhaa-66/#…

帝国と植民地における順化への熱狂:Osborne "Acclimatizing the world"(2000)

今週末に迫った生物学史研究会「漁業からみる帝国日本の内と外」に向けて、関連する文献を読みました。なお、研究会はどなたでも無料で参加できますので、お気軽にお越し下さい。 ・8月10日(土)「漁業からみる帝国日本の内と外」生物学史研究会 Michael A.…

土地を所有しない身分集団・生業集団への注目:横田冬彦「生業論から見た日本近世史」(2008)

引き続き、とある勉強会で読んでいる近世日本の環境史に関する文献をまとめました。こちらも第一回目の勉強会のアサインメントです。なお、本論文では「環境史」と呼びうる事例(山村や漁村の生業に関する研究)が紹介されていますが、それほど「環境史」と…

人間史と自然史の相互作用への着目:水本邦彦『環境の日本史 4 人々の営みと近世の自然』(2013)

とある勉強会で、近世日本の環境史に関する文献を読んでいます。第一回目は、吉川弘文館から全五巻本として刊行された『環境の日本史』シリーズから、近世史に関連した第四巻の編者の総論などを読みました。 水本邦彦「人々の営みと近世の自然――総論」、「1 …

第24回国際科学史・技術史・医学史会議(2013年7月23日、於:マンチェスター大学):2日目

24th International Congress of History of Science, Technology and Medicine, 23 July 2013, at the University of Manchester http://www.ichstm2013.com/ ・S002:科学博物館における研究――その最先端(要旨) 「博物館学と遺産」カテゴリに分類される…

第24回国際科学史・技術史・医学史会議(2013年7月21日、於:マンチェスター大学):1日目

2013年7月21〜28日の一週間にわたって、第24回国際科学史・技術史・医学史会議がマンチェスター大学で開催されました。世界60カ国以上から1758人の参加者が集まり、1400の報告と100を超えるソーシャル・プログラムがおこなわれるという非常に大規模な学会で…

Science Museum(英国科学博物館)

イギリス滞在二日目です。今日は科学博物館の見学に行ってきました。 Science Museum(英国科学博物館) HP:http://www.sciencemuseum.org.uk/ 住所:Exhibition Road, South Kensington, London, SW7 2DD 最寄り駅:South Kensington Sta.(Circle Line/Di…

病者を癒やすという「奇跡」をめぐるイエズス会と中国社会:Laven "The Role of Healing in the Jesuit Mission to China, 1582-1610"(2013)

今週の金曜日に迫った、平岡隆二さんによる駒場科学史講演会「科学伝来――南蛮系宇宙論と近世日本」に少し関連させて、マテオ・リッチによる16–17世紀の中国へのミッションについて論じた文献を読みました。 ・駒場科学史講演会 「科学伝来 南蛮系宇宙論と近…

洋学史学会・7月例会(2013年7月14日、於:電気通信大学)

洋学史学会の例会に参加してきましたので、報告記を。 福岡万里子「幕末外交史の日本=プロイセン修好通商条約/オランダによる〈世界貿易への日本開国〉?」、平野恵「舶来植物が本草学に与えた影響」洋学史学会・7月例会(2013年7月14日、於:電気通信大学…

ASSHM例会(2013年7月13日、於:青山学院大学)

本日、ASSHM例会にて中村江里さん(一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程)と一緒に報告させていただきました。僕の報告についての概要・議論などはまた別エントリにまとめるとして、以下では中村さんの議論について簡単に紹介したいと思います。 中村江…

生活が苦しい女性労働者たちが余儀なくされる売春:メイヒュー『ヴィクトリア朝ロンドンの下層社会』(2009)

明日の駒場科学史研究会では、立教大学博士課程の田村俊行さんに「19世紀英国における伝染病法」とタイトルで報告をお願いしています。その予習もかねて、19世紀半ばのイギリスの下層民に関するルポルタージュを読みました。以下では、特に研究会テーマに関…

東洋文庫講演会(2013年7月7日、於:東洋文庫)

駒込駅近くにある「東洋文庫」は、アジア全般の歴史や文化に関する書物を多数所蔵する東洋学のセンターです。そのミュージアムでは、今月末まで「マリーアントワネットと東洋の貴婦人――キリスト教文化をつうじた東西の出会い」(会期:2013年3月20日〜7月28…

ハンセン病・被爆者・キリスト教:風見治「鼻の周辺」(1987)

本日、今回で2回目となるハンセン病文学読書会に参加してきました。今回は風見治さんによる「鼻の周辺」(1987)という短編小説を読みました。 著者の風見治さんは、1932年に長崎市に生まれ、1934年にハンセン病を発症しています。その後、1952年から熊本県…

売春婦の自由から市民の病気からの自由へ:田村俊行「一九世紀イギリスの売春統制」(2012)

来週金曜日に迫りました駒場科学史研究会では、立教大学博士課程の田村俊行さんに「19世紀英国における伝染病法」とタイトルで報告をお願いしています。その予習もかねて、関連する文献を読みました。なお、研究会はどなたでも参加可能ですので、関心があれ…

「国民皆兵主義」という理念と一部の貧者だけの徴兵という実態:一ノ瀬俊也「軍隊と社会」(2012)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より明治期の徴兵制によって変容する社会の様子を描いた文献を読みました。 一ノ瀬俊也「6 軍隊と社会」明治維新学会(編)『講座 明治維新 5 立憲制と帝国への道』有志舎、2012年、176–200頁…

日清戦争研究のこれまでと新潮流:大谷正「日清戦争」(2012)

とある近代日本史ゼミのアサインメントとして、『講座 明治維新』より日清戦争に関する文献を読みました。本講座所収の他の論文に比べて、本論文は研究動向という色合いが強くなっていますので、以下の要約では研究史でキーとなっている文献の紹介と、最近の…

日本科学史学会生物学史分科会・STS Network Japan共催シンポジウム「生物学史と生物教育」(2013年6月30日、於エル・おおさか)

生物学史分科会のシンポジウム「生物学史と生物教育」に参加してきましたので、簡単にその参加記を。 日本科学史学会生物学史分科会・STS Network Japan共催シンポジウム「生物学史と生物教育」(2013年6月30日、於エル・おおさか) http://www.ns.kogakuin.…

報告:藤本大士「近世日本における鉱山労働者の生命と医療政策――産業政策の一環か、領主の慈悲か」「生のガバナンス」研究会・第9回研究会(2013年6月28日、於:京都大学吉田泉殿)

2013–2014年度・科研費挑戦的萌芽研究「生に関するゆるやかなガバナンスのあり方」(研究代表:吉澤剛;KAKENページはコチラ)の活動母体である「生のガバナンス」研究会において、発表させていただきました。以下、簡単にその報告を。 藤本大士「近世日本に…

「紀ノ川」(1966年、監督:中村登)

とある近代日本史ゼミの一環で、有吉佐和子の小説を元にした映画「紀ノ川」(1966年)を見ました。簡単にあらすじと感想を。以下、ネタバレあり。 「紀ノ川」(1966年、松竹、173分) 監督:中村登、脚色:久板栄二郎、原作:有吉佐和子あの頃映画 「紀ノ川…

刑罰執行において公儀の慈悲深さを維持する方法:ボツマン『血塗られた慈悲、笞打つ帝国。』(2009)#1

ダニエル・ボツマン氏の著作『血塗られた慈悲、笞打つ帝国。』(原題:Punishment and power in the making of modern Japan)より、邦題の前半部に関連する第2章の部分を読みました。 ダニエル・V・ボツマン「第2章 血塗られた慈悲――幕府のふたつの顔と被差…

Isis Focus 読書会 #9「科学史の未来」(2013年6月24日、於:東京大学)

第9回のIsis Focus読書会のテーマは「科学史の未来」でした。個人的に面白かったと思うことや学んだことを簡単にメモしておきます。 Isis Focus 読書会 #9「科学史の未来」(2013年6月24日、於:東京大学) Isis, Focus読書会#9 科学史の未来 - 駒場科学史研…